第2話:進む時代、進まない社会 ②

現在議論されているのは“基本理解に関する領域”であることから、社会全体で理解を早急に進めていかなくてはいけない部分であるということが言えるのだ。


ただ、これらの領域の中には“付帯的理解”と呼ばれる基本領域を理解するにあたって必要な他の領域をどこまで理解につなげられるかという点が出てくるのだ。


 この点は現在発生している“差別”や“偏見”から考えた場合に社会がどの方向に進んでいくのかという部分で混乱が出てくる可能性も高い。


 そのうえ、この問題は一般的にはあまり注目される内容ではないことから、当初は社会的な認識も薄く、企業などにおいてもあまり意識されてこなかったのだが、近年は“LGBTQ+”の周知が進み、企業等からも認知されたことで状況は徐々に改善されてきているが、組織ベースでの変化は進んでも、個人ベースでの変化が進んでいないことで企業内不和を招き、社員間で分断が起きてしまう、社会不和を招き、国民同士の衝突が起きてしまうという事態が発生するのだ。


 これは大人の問題でもあり、子どもの問題でもあると思う。


 これは私が調べて分かったことなのだが、現在は子どもの“LGBTQ+”があまり取り上げられていないことから、当事者の子どもたちが苦しむという状況が出来てしまっていると言われており、この状況が現場における子どもたちのケアを遅らせる原因になっているようにも見えるのだ。


 現代は“個性”や“多様性”の時代といわれているが、実際にはこれらの土台となる部分が十分に完成していないことで本人の意識が否定的(=ネガティブ)な方向に進んでしまうということが考えられることから、仮に周囲と違うということで孤立するというリスクが発生した場合にどのように対応していくかは専門の担当者と協議しながらガイドラインやマニュアル作成を1つずつ進めていくことが大事だと思う。


 子どもの場合は精神発達段階であり、心理発達も伴っている状態であることから、大人と同じスタンスで接することは子どもの精神発達や心理発達に与える影響はかなりリスクが高いと判断することが望ましいだろう。


 そのうえ、子どものマイノリティタイプによっては即効性のある選択肢と遅効性のある選択肢を組み合わせるなどして柔軟に問題や課題に対応していくことが大事になってくると思う。


 ただ、子どもの場合は大人と異なり、初めて経験することが多く、すでに経験していることが少ないことから、精神的なバランスが十分に取れないということも考えられるのだ。


 そのため、性自認と逆の現象が起きるとパニックになることや精神的に追い詰められてしまうなどして日常生活を送る上で支障が出てしまうということが考えられるのだ。


 このような課題はボトムアップ型の議論が必要になってくるだけでなく、家庭への理解周知や理解促進を進めていくことが大事になってくるだけでなく、これらのプロセスを経てどのようにこれらの問題を議論して、本人が過ごしやすい、馴染みやすい環境を整備していくかが重要になってくる。


 例えば、トイレや制服など性別で分けられている場所や服装はどのように基準を作っていくかが子どもの場合は難しいということが言える。


 実際に高校などは“ジェンダーレス制服”と呼ばれる男女の制服を男女問わず着用できるようになっていることから、これも1つの価値観として定着しつつあるのだが、義務教育においては地域や学校で基準に学校差が生まれていることで、ある地域では認められても、ある地域では認められないことでそのまま高校に進んだ場合にどのような選択をすることが自分にとって正しいのかを判断しにくいということになるのだ。


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ダイバーシティを進めていくために必要なこととは NOTTI @masa_notti

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