愛の翼で飛ぶ小さな鳥

菊池まりな

第1話

むかしむかし、遠い森の奥に、翼が折れて飛べなくなった小さな鳥のチュンチュンが住んでいました。チュンチュンは美しい声で歌うことができましたが、空を飛べないことをいつも悲しんでいました。


ある日、森の中で迷子になった小さな女の子のミアと出会いました。ミアは家に帰る道がわからず、泣いていました。


「なぜ泣いているの?」

とチュンチュンが尋ねました。


「道に迷ってしまったの」

とミアは涙を拭きながら答えました。

「でも、あなたは話せる鳥なの?」


「はい、私はチュンチュン。この森で生まれたの。でも翼が折れているから飛べないの」


ミアは優しい心を持った女の子でした。

「大丈夫よ、一緒に助け合おう。私は歩くことができるし、あなたは森のことをよく知っているでしょう?」


そうして二人は友達になり、森の中を歩き始めました。チュンチュンはミアの肩に乗り、道案内をしました。途中、彼らは多くの困難に出会いましたが、お互いを助け合いながら乗り越えていきました。


深い川を渡るときには、ミアが木の枝を使って橋を作りました。暗い洞窟を通るときには、チュンチュンが美しい歌声で恐ろしい動物たちを魅了し、安全に通れるようにしました。


旅の終わりに近づいたとき、彼らは森の魔法使いに出会いました。魔法使いは二人の友情に感動し、

「真の友情は不可能を可能にする」

と言いました。


そして魔法使いはチュンチュンの折れた翼に触れ、光り輝く魔法の粉をかけました。突然、チュンチュンの翼が癒え、再び飛べるようになりました。


チュンチュンは喜びのあまり空高く舞い上がり、美しい歌を歌いました。そして上空からミアの家を見つけ、彼女を無事に家まで導くことができました。


「ありがとう、チュンチュン」

とミアは言いました。

「あなたのおかげで家に帰れたよ」


「いいえ、ありがとうはこちらこそ」

とチュンチュンは答えました。

「あなたの優しさが私に飛ぶ勇気をくれたんだよ」


それからというもの、チュンチュンはよくミアの窓辺に訪れ、二人は末永く友情を育んでいきました。

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愛の翼で飛ぶ小さな鳥 菊池まりな @marina_kikuthi

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