概要
永遠の若さと引き換えに、イケメンの彼が失ったものとは何だったのか……。
まもなく三十五歳を迎える外資系金融マン、氷室蒼涼。エリートとして、美貌と財産には恵まれていたが、心の空白を刹那の快楽で埋める日々を送っていた。しかし、ある日突然、彼の肉体に異変が生じる。信じがたいほど急速な老化――それはまるで、「失われた時間の回廊」を、逆戻りもできずに彷徨いはじめるような感覚だった。
そんな絶望のさなか、彼は一つの謎めいた媚薬と出会う。それは若さと健康を瞬く間に取り戻させる、奇跡の秘薬だった。
だが、喜びも束の間、その代償はじわじわと彼の人生を侵食しはじめる。鏡の奥に見え隠れするのは、欲望に取り憑かれた「虚空の影」。若さを取り戻した代償に気づいたとき、氷室の運命は思いもよらぬ方向へと動き出していく――。
そんな絶望のさなか、彼は一つの謎めいた媚薬と出会う。それは若さと健康を瞬く間に取り戻させる、奇跡の秘薬だった。
だが、喜びも束の間、その代償はじわじわと彼の人生を侵食しはじめる。鏡の奥に見え隠れするのは、欲望に取り憑かれた「虚空の影」。若さを取り戻した代償に気づいたとき、氷室の運命は思いもよらぬ方向へと動き出していく――。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!静謐の中で繰り返される、人生の寓話。
この作品は、朗読仕様になっているのだが
読んでいても静かに都会の情景が浮かび
上がってくる。
高層ビルの煌びやかな夜景、窓硝子に
映る自分の虚な貌…。
そして瞳の中の暗闇が。
いつの間にか薄暗い回廊の中を彷徨う。
恰もそれは人生の不毛な虚栄を生かされて
いる様な、繰り返し。
今 という時間はない。
そして悪魔は囁く。常に走り続ける 今
刹那の中にある繰り返しを無意識のうちに
費やして行く…立ち止まる事もなく、今を
妄信して、
ふと、気が付いた時に。
暗い回廊の中に、独り取り残されている。
作者は、心温まる作品を端正に描く事で
定評があるが、時にまるで世の東西を…続きを読む