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Kei
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「ピースをドラッグしてパズルを完成させます」
…またこれか
佳一はそう呟いた。
最近のスマホゲームは課金しなくても基本的なプレイができる。その代わりに定期的に広告を表示させる。それは近頃よく見かけるパズル形式の広告だった。タッチ操作でピースを移動させ、完成させるとロゴやキャラクターが現れる。もちろんプレイしなくてもよい。既定の表示時間が経過すれば広告を閉じることができる。
——これ長いんだよな…
佳一は30秒、待った。
——ん?
時間が過ぎても「✕印」が出なかった。広告終わりでフリーズすることは、古いスマホではしばしば起こる現象だった。
佳一はアプリを閉じて立ち上げ直し、画面に表示された「CMを見る」をもう一度、押した。
「ピースをドラッグしてパズルを完成させます」
30秒後、「✕印」は出なかった。しかしピースが揺れてアピールしている。アプリはフリーズしていないのだ。
佳一は仕方なくパズルをプレイした。
——なんだこれ?
現れたのは奇妙な絵柄だった。真っ黒い四角、その内側に向かって灰色のグラデーションが続いている。
突然、グラデーションの中心から手が現れ、画面を通り抜けて佳一の顔を鷲掴みにした。
そしてそのまま引き摺り込んでいった。
スマホに文字が表示された。
「完成しました!」
広告 Kei @Keitlyn
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