第14話 異質


深夜の警察署。

理人は、資料室の蛍光灯の下で、机に散らばった事件記録を眺めていた。


 


「分からない……

誰が、何のために?」


 


ファイルを一枚一枚めくりながら、理人は無言で思考を続けていた。

犯人――片桐ではない。

だが、他に心当たりがない。


 


「次は誰が狙われる?

いや、それ以前に――

誰が、この“ゲーム”を仕掛けてる?」



朝。

署の休憩スペースで、理人はぼんやりと冷めたコーヒーを口にしていた。

職員たちの雑談が耳に入るが、意味を成さなかった。


 


「考えろ……

何か、まだ見落としている」


 


理人は、これまでの被害者のリストを脳内で反芻した。


 


蓮の母親――

天使のようにされた女――

蓮の担任――

カフェの店員――

そして、ゼミの先輩、研究所の同僚。


 


「……この中で、

“おかしい”のは――」


 


理人は、頭を押さえた。

自分でも分からない“違和感”が、胸の奥に滲む。



昼。

再び、資料室に戻った理人は、ホワイトボードに被害者の名前を並べた。

そして、それぞれの“意味”を考える。


 


「蓮の母親……僕の“始まり”

天使の女……犯人の“美学”

担任……蓮への接触

ゼミの先輩、研究所の同僚……僕への挑発

カフェの店員……」


 


理人の手が止まる。


 


「……カフェの店員、

この人だけ、“繋がり”が薄い」


 


理人は、椅子から立ち上がった。

そして、コートを手に取る。


 


「“何か”がある……

分からないなら、見に行けばいい」


 


理人は、警察署を出て、

殺されたカフェ店員が働いていた――

あのカフェへ向かうことを決めた。



■第14話「まよう」 完!!!


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最高の作品だったよ。 @aaaaayyyyy

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