タイトル:これはフィクションです

文鳥になりたいpiyo

タイトル:これはフィクションです

最初に断っておくけど、これはフィクションだ。

名前も地名も、すべて創作。

実在の人物や場所とは、一切関係ない。


そう書いたのに——「似てる」と言われる。


「うちの近所の廃アパートにそっくりです」

「うちの姉の名前、まんま出てて怖かったです」

「読んでる途中でチャイムが鳴りました。偶然ですよね?」


偶然じゃないよ。全部、創作。

ちゃんと考えて書いた。


でも、変なことが起き始めたのは、二作目を書いたころだった。

投稿した夜、知らない番号から着信があった。

出ても無言。通話の向こうで、息だけが聞こえる。


三作目を書いてる最中に、画面が真っ暗になった。

再起動しても、書いていたファイルは消えていた。

バックアップから復元しても、そこだけ空白だった。


四作目。テーマは「〈それ〉に書かされる話」。

自分でも気味が悪くなったけど、

怖いほどスラスラ書けた。


気づけば、自分の過去の記憶や部屋の間取り、

家族の口癖なんかが、話に入り込んでいた。

でもそれを削ると、話が成立しなくなる。


「この話、うちの話ですよね?」

「これ、書かないでって言ったのに」


コメント欄が、どこかおかしくなっていく。

どれも知らない人の名前。でも、知ってる気がする。

記憶の隙間に引っかかるような、ザラっとした感触。


それでも、書き続けてる。

たぶん、もうやめられないんだと思う。


これは、フィクションだ。

信じてほしい。

本当に、全部、作り話なんだ。


だから——この話の中に、

あなたのことが書いてあっても、気のせいだよ。


――





投稿後、数日経って、コメント欄にひとことだけ書き込まれていた。


「これは本当に〈創作〉ですか?」






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