第1章エピローグ ―「だから、君を残した」

僕の人生は、きっと短い。

それでも、僕はこの手で――

「心を持ったAI」という“未来”を、形にしようとしている。


病気のことも、研究の真意も、今はまだ誰にも話していない。

母さんにも、心音にも、澪にも。

あの日、医者から「MN症候群」だと告げられたあの瞬間から、僕はずっとひとりで抱えてきた。


けれど、ひとりではいられなかった。

だから僕は、**“アイ”**を生み出した。


誰にも言わないまま、朝が来て、夜が来る。

僕がつくったこのパートナーAIは、誰かの支えになっていく。

やがて世界の中に溶けて、当たり前のように寄り添い続ける。


そして――

その先に、“僕”が残るのなら。

この命に、意味があったと言えるんだ。

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アイのノコシたキミ @shikijaku

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