異品改方捕物帳~連発銃奇譚

幽世（かくりよ）――それは、生と死のあわい。
情念の残響がたどり着く、忘れ去られた魂の終着地。

これは、幽世に棲まうひとりの女――
“下り物狂い”と呼ばれる与力・浦部玲香の、静かなる捕物譚。

現世より流れ着くは、名もなき遺物“下り物（くだりもの）”。
それらを取り締まるは、伏水町奉行所　特務組織、
異品改方（くだりものあらためかた）。

連発銃、筆記具、時計、音盤。
記憶の澱を帯びた“下り物”が、今日もまた幽世に怪を招く。

浦部はその捜査の中で、禁制品を糸口に、
下り物をめぐる組織的陰謀――
夜道会（やどうかい）との対峙へと導かれてゆく。

彼女の筆が記すのは、

非情な結末を迎えた者の名。

幽世にてふたたび人生を得た者の記憶。

情に呑まれ、破滅に至った魂の記録。

紫煙と煎茶の香…続きを読む