若返り薬
うさぴょん
第1話
「はぁ…どうしよう」
今日はお母さんの誕生日
プレゼントを買いに大宮のデパートに来ていたのだが、全然決まらない。
諦めて帰ろうとした時、デパートのすぐ外にある古い木造の店に目が止まった。
「若返り薬?」
その古臭い店の看板に「『若返り薬』発売中」と書いてあった。
そういえば、お母さんが鏡を見て「老けてきたわね…」とか何とか言ったりしてたな。
じゃあ、これを買えばお母さんに喜んでもらえるかな?
なんて考えながらその店に入ると、その若返り薬って言うやつは千円だった。
お小遣いを貰ったばかりだし、と思って少し高いけど買ってみた。
若返り薬は、見た目と反してまあまあ重かった。
こっそり飲ませようと思いながら家に帰った。
そして、僕はお母さんの料理にこっそりその薬を入れた。
明日お母さんの喜ぶ顔が楽しみで待ちきれなかった。
翌朝、一階に行くと僕の顔を見たお母さんは嬉しそうに言った。
「裕太にいいお知らせがあります!」
そう言ってお母さんはぼくの前に来た。
「裕太はこれからお兄ちゃんになります!」
「やったー!」
ぼくは喜びすぎて、お母さんに内緒で若返り薬をあげたことなんて忘れてしまった。
「じゃあこれから検診行く?」
「行く!」
僕は元気よく答えた。
病院に行く途中、お母さんが教えてくれた。
「新しい病院ではね、影を見て赤ちゃんがいるか分かるんだよ」
そして、病院に着くとあらかじめ予約しておいたみたいで、すぐ診療室に行けた。
お母さんのお腹の中にいる赤ちゃんの影を見て、医師は言った。
「だいぶ大きくな…え?消えてる?!」
僕もモニターを見てみたけど、影がまったくないのだ。
「なんで…」
お母さんはショックで今にも気絶しそうだ。
「あっ!」
僕はようやく思い出した。
若返り薬 うさぴょん @mori_masato
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