首位打者はとったものの

第4話

「首位打者取れたん、菜月ちゃんのおかげやね」

「ううん、そんなことない。私はアドバイスしただけやから。首位打者取れたんは、川越君の実力やよ」

「そっか。俺って実はすごかったんやね」

 俺は得意気に胸をはった。そして、一番聞きたかった事を聞いてみる。

「ところで、菜月ちゃん、俺が首位打者取ったら、付き合ってもいいって言ったの覚えてる? 俺、一度は菜月ちゃんに振られたけど、まだ、菜月ちゃんのこと好きやねん」

「ごめんなさい、そのことやねんけど、あれはエイプリルフールの嘘やってん。まさか、川越君が首位打者取るとは思わへんかったから、ごめんな」

 自分自身の努力で、俺は首位打者を手にすることはできたが、菜月ちゃんの心までは手に入れることはできなかったようである。

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嘘から出た首位打者〔完〕 @asarishizimi2025

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