読解力放棄ピーポー痛恨跋扈

加賀倉 創作【FÅ¢(¡<i)TΛ§】

吠え方を忘れた戌

 どう考えても文章を俯瞰して構造的に読める人間が減っている。

 

 分厚め読書文化下火、短文SNS投稿の一般化などがその原因としてあるかもしれない。


 常にワンイシューかつ超絶短文でないと、読みたくないし理解できないというのは、怖い。


 玉石混交の論を己が内に雑然と屑籠に放るかのように取り入れる場合のみならばまだしも、知っているフリ、賢いフリをして誹謗中傷同然の御託を並べることもあるのが厄介極まりない。


 中庸な顔をしながら偏向報道に耽るオールドメディアよろしく、論──ひと繋がりの体系的文章の塊──の中から、己にとって都合の良い部分を己の縦に改竄して拡散したり、支離滅裂に吠え噛みつくその姿は、醜悪である。


 そこでいっそワンイシューで、中身を重厚にしてやろうとも思うが、やはり重みがあると意思と意志と知識と意欲持たざる読み手は咀嚼しきれず読まれないし読まれても消化されないので、論者の綴りはスカスカワンイシューにならざるを得ない。


 そうして極度平易且つ本質の欠落歪曲した擬似的知恵が蔓延する。


 苦しい。


 私は、植えても芽生えも実りもない炒った豆の知識を披露したいわけではない。真に、弱者がため公共の福祉がためになる天まで無限と思えるほどに伸長するジャックと豆の木的、生の、種となりうる豆を蒔き、繁茂させたいのである。すなわち、知識を、接着剤無き断片的集合体の単なる一問一答集作りとしてではなく、体系的で実践的で応能可能なものへの布石として広めたいのである。


 協賛者は多くない。


 が、ここにいる。


 それだけは、私は、嬉しい。

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