ただのマッサージだから
白川津 中々
■
給料日で、しかも休日である。
ぱっと金を使える日。これはもう、悦楽の限りを尽くすしかないと浮かれていたが生活という呪によって地に足が着き、牛丼に追加トッピングをもつけてビールでも飲もうという雑魚リッチ活動に思考が固まる。つまらない一日になることが見えてしまってテンション数値は大幅に下落。せめてマッサージくらい行くかと思い調べてみる。
そして、世界は広がった。
なまめかしい半裸の女が表示されるウェブページ。魅惑の時間、最高の癒し。直接表現はできないが、とある可能性を感じるコピーが目に飛び込んでくる。
「え? なにこれ? マッサージ? 健全な店? あ、健全なサービスを提供してるんだ、ふぅん?」
誰が見ているわけでもないのにわざとらしい独り言を落とす。そう、健全な店と謳っている以上、ここは健全な店なのだ。ただのマッサージ店。もみほぐしてリラックスさせてくれるだけだ。それ以外にどんな目的があるというのか。ここはメンズを対象にしたエスティックサロン。それだけなのである。
「料金体系は……なるほど……ま、こんなもんか……なるほどなるほど。なるほどね……ま、たまにはね。疲れてるし、たまにはこういう形で、ま、自分の体をね。ま、いたわってやらないとね。ま」
呪縛、解放。
身支度完了。俺は颯爽と部屋を出て、該当のお店へ向かうのであった。
ただのマッサージだから 白川津 中々 @taka1212384
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