おばあちゃんの一日
国城 花
おばあちゃんの一日
私の名前は美代子。
今日も自宅を警備中。
朝は布団からなかなか起きられない。
だって布団が柔らかくてあたたかいから。
私は悪くないのよ。
二度寝したって、私を怒る人は誰もいないもの。
ようやく目が覚めたら、まずは朝ごはん。
家の人が用意してくれたものを食べて、水を飲む。
毎日同じようなご飯ばかりだけど、文句は言えない。
朝ごはんを食べたら、軽く体を動かすために家の中を見回り。
一階、異常なし。
和室の匂いが気になるけれど、どうやら線香を炊いた後みたい。
二階、異常なし。
今日は天気が良くて気持ちが良いから、少し外に出ようかしら。
外を歩けば、知った顔ばかり。
みんな私に挨拶をしてくる。
軽く挨拶を返しながら、何か異常はないかと見て回る。
隣の家の子どもは、春から小学生。
お母さんと一緒に学校に行く練習をしている。
私も手伝ってあげようかしら。
少し足を延ばせば商店街。
朝から良い匂いが鼻をくすぐる。
肉屋のさっちゃんは朝から元気が良い。
魚屋のごんじいはたまにおやつをくれる。
花屋のしずかさんは今日も綺麗。
いつも通りの商店街。
賑わっていて、散歩がてら歩くといい気持ち。
家に戻ると、なんと問題発生。
家の中に虫がいる。
家の人は虫が苦手だから、私がなんとかしてあげないと。
虫を追って、あっちにぴょん。
虫を追って、こっちにぴょん。
あらこれって、なんだかダンスを踊ってるみたいじゃない?
誰かに見てほしいけど、残念ながら今は私しかいない。
虫取りダンスは、最後に虫をとっておしまい。
結構大きな虫がとれたわ。
誰かに見せたいけど、家の人に見せたら驚かせるからやめましょう。
大きな仕事を一つ終えたし、あたたかい日差しを浴びながら少しごろんと寝ちゃう。
起きたら夕方、なんてよくあること。
それでも誰も私を怒らない。
物音がして起きたら、あら夕方を超えてもう夜。
窓の外は暗くなっているわ。
家の人が帰ってきたのね。
お迎えしないと。
私が玄関まで迎えに行くと、家の人はとても喜ぶ。
「今日は何をしていたの?」と聞かれるから、いつもちゃんと答えているのよ。
お話ししたいことはたくさんあるけれど、今日の晩ご飯はまだかしら。
お腹が減ったわ。
朝と同じメニューだったけど、私は文句は言わないわ。
夜も更けたら、もう寝る時間。
家の人が布団に入ったら、私も同じ布団で寝るの。
その方があたたかいでしょう?
「天下無双の可愛さ…」
寝言かしら。
何か呟いているわ。
でも、これだけは分かる。
私に向けられた褒め言葉だってことはね。
だから私もお返事してあげるの。
「にゃあ」ってね。
おばあちゃんの一日 国城 花 @kunishiro
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