森に住む者の平凡な一日
ゆっくりと意識が浮上する。
ログアウト時同様ベルの枕元で私の意識は覚醒した。
…ふと思ったが、私のリスポーン地はどうなっているのだろうか?
この手のゲームでよくある教会や街へのリスポーン地設定は、いつもモンスター系種族でプレイしていた私にはもとより縁遠い者だった。
モンスター系種族のプレイヤーは大抵のゲームではナワバリのような固定リスポーン地点があるか、リスポーン地は再設定のシステムやアイテムがあるかなどモンスター系特有の処置がなされていた。
他にもデスペナルティがあるのかなど、私は基本システムの検証がまだまだできていない。
…ベルの側では今後もわざと死ぬようなマネはできないだろうから、しばらく検証できそうにないかもしれない。
そんなこんな考えていると、窓の外が明るくなり始めていた。
窓の外が見える場所に飛び乗り私がこの世界初日の出を眺めてしばらく、ベルがベッドの中でモゾモゾ動く気配を感じ振り向くと、眠りまなこを健気に擦り起き始める美少女の姿があった。
とても可愛い。
「んっ……ふわぁ…はふぅ……ぺとぅー?」
「あれ…ペトゥー?…どこに」
ベルがきょろきょろと側を見渡し始めたので、ぽよんぽよんと跳ね居場所を伝える。
「あっ…ペトゥー、おはよう」
「お外を見ていたの?」
私を見つけふわりと
「ふふ、今日はいいお天気になりそうね」
「朝食をとったら一緒に森へ出ましょう?」
「良い使役師は使役魔との絆を大事にするのよ?その為に使役師は共に沢山の経験を積むのだそうよ」
こちらとしても嬉しいベルの誘いに、ぷるんと身体をふるわせて応える。
もちろんレベリングへのお誘いは大歓迎だ。
…まぁ私は攻撃方法がないから基本彼女のレベリングになるだろうけれど、主人だって強いに越したことはないのだから。
ベルは私の返事に嬉しそうに微笑むと、クローゼットと姿見のある場所へ向かい着替えを始めた。
このゲームこんなところまで…いや、私がモンスターだからこんなパーソナルスペースにまで入り込めてしまったの、か…いやでもちょっとセンシティブ…ちゃんと後ろ向きます。
同性、しかも今は屑餅だから気にする必要もないのかもしれないけど、美少女の着替え姿というのはこちらも何故か気恥ずかしくなるものなのだ、と見て感じた。
「よし、じゃあペトゥー、朝食にしましょう?」
着替えたベルに抱き抱えられ、昨日と同じく机の上に置かれた。
ベルは機嫌が良いのか鼻歌を歌いながら朝食の準備を始める。
「ペトゥー、今日は小川の方に行きましょうか」
「少し森の奥に入った所にあるの。…ペトゥーは行ったことがあるのかしら?」
「水属性の屑餅と小魚くらいしかいないけど、水はとっても綺麗で小魚もキラキラしていて、私のお気に入りの場所なの」
ベルが料理をしながら楽しげに話す、その背中に声をかけてあげられないのが少し寂しいと思ったから、せめて音で分かるようにぽよん、ぽよん、と跳ね相槌を打つ。
そうやってベルの話を聞きながらしばらく待つと、ベルは料理を運んできた。
私の精魔石もお皿に入れ一緒に運んできてくれた。
「それじゃあ、いただきます」
ベルの掛け声と共に私も小さな精魔石をちびちびと取り込む。
レベリングタイムである。
食後、私のレベルは6レベルから9レベルに上がっていた。
以下ステータス。
────────────────────
名前:ペトゥー
種族:魔法生物種 屑餅
年齢:0歳
性別:無性
LV:9 (+3)
HP:180/180 (+60)
MP:90/90 (+30)
魔力属性:風属性
筋力 : ──────────
生命力:⚫︎ ⚪︎ ⚪︎ ⚪︎ ⚪︎ ⚪︎ ⚪︎ ⚪︎ ⚪︎
知性 :⚫︎ ⚫︎ ⚫︎ ⚫︎ ⚫︎ ⚫︎ ⚫︎ ⚫︎ ⚫︎
精神力:⚫︎ ⚫︎ ⚫︎ ⚫︎ ⚫︎ ⚪︎ ⚪︎ ⚪︎ ⚪︎
器用 :⚫︎ ⚫︎ ⚫︎ ⚫︎ ⚫︎ ⚫︎ ⚫︎ ⚫︎ ⚪︎
俊敏性:⚫︎ ⚪︎ ⚪︎ ⚪︎ ⚪︎ ⚪︎ ⚪︎ ⚪︎ ⚪︎
魅力 : ──────────
運勢 :⚫︎ ⚫︎ ⚫︎ ⚫︎ ⚫︎ ⚫︎ ⚫︎ ⚫︎ ⚫︎
異能:【自己鑑定】
【意思疎通:屑餅】
【精霊知覚】
【風魔法Lv.1】
【風魔法の才 Lv.1】
【使役:屑餅 Lv.1】
技術:【精霊種捕食】
────────────────────
○
「それじゃあペトゥー、行きましょう?」
食後、朝の支度や森へ行く準備をしてきたベルに抱えられ、私たちは森に入った。
昨日私が使役した緑屑餅は変わらず家の傍に待機だ。
小川への道を進んでしばらくは木以外屑餅くらいしか居なかったが、だんだんと水の流れるちょろちょろという音がきこえてくる。
ちなみに道中見つけた緑屑餅4体はベルが精魔石集めのためと倒してくれている。
ナイフでザシュッといくベルは屑餅相手でもかっこかわいかった。
「ほら、着いたわ」
「本当に天気が良くて良かったわね。どうかしらペトゥー、綺麗でしょう?」
ベルの言う通り、そこまで大きさはないものの森の中に流れる小川のキラキラと輝く水面はとても綺麗で、その水の透明度も水底を写し綺麗なものであることは一目瞭然だった。
これはちょっと感激だとベルの胸元でふるふると体をゆらし返事をする。
小川の周りには青色の屑餅がぽよん、ぽよんと跳ねていたり水に浸かったり、青色の光があたりを漂ったりしている。
青屑餅、みるからによく想像するスライムまんまである……
「ペトゥーも水に入ってみる?」
ベルはそういい私を水面につける。
…うん、温度は感じない。
ただ水の流れは感じるこの感覚が面白く、少しぴちゃぴちゃ跳ねてせっかくの小川を楽しんでみた。
「ふふ、ペトゥー楽しいの?」
「ペトゥーも気に入ってくれて良かったわ。ただ深い方には言ってはダメよ?ペトゥーならきっと流されてしまうわ」
一回り年下の美少女に川で遊び回っている姿を微笑まれ流される心配をされる27歳の姿がそこにはあった…解せぬ……
よわよわテイマーと征く最強魔物種プレイヤー冒険録 村雨 @murasame08
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