夢想
@jgt_senzaki
夢想
あの夢を見たのは、これで9回目だった。
起きてすぐ
「皆、無事か」
「大丈夫ですよ、ここに死者は居りません。
文直は雑兵達にそう言われて、胸を撫で下ろす。
そうだ、死んでも尚ここに在るのは自分だけ。
文直は爪の伸びた両手を見下ろし、鋭い牙の間から息を吐く。
――
「また、皆が殺される夢を見たのか」
文直はこくりと肯き、申し訳なさそうに言う。
「
「構わんさ。真っ先に無事を確認しに来てくれたのだろ」
嬉しげに微笑して玲月は、ところで、と話を転換する。
「そろそろ
5回前の夢くらいから玲月はそれを尋ね続けている。
だが、今回も文直は首を横に振った。
そうか、と玲月は呟き、総帥らしく凱旋の
「
文直は瞠目して玲月を見る。
「死んだ、ではなく、殺されたと言いながら、凶器も殺した奴も不明と言う矛盾は、つまり、そういうことではないのか」
追及する声音は優しかった。
文直は泣きそうになりながら肯き、観念して吐露した。
「
「これは儞の未練ではない。私の
玲月は馬を止め、語気を強める。
「文直ともっと一緒に居たかった。だから、僵屍にしたんだ。故郷へ
だから怯えるな笑っていろ、と玲月は弱弱しく微笑んだ。
驚き、喜び、最後に切なさが胸を過ぎったが、文直は涙を堪えた。
――愛しい
恭しく
その日以後、文直は、あの殺伐とした夢を二度と見ることはなかった。
夢想 @jgt_senzaki
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