万障2
岸亜里沙
万障2
頭部を殴られたのか、頭頂部から首にかけて鈍い痛みがある。
しかし頭部の痛み以上に、鼻腔を
あまりの臭気に
「キキキ。やっと目が覚めたか」
後方から急に声がし、
そこには大柄で短髪の男が立っていた。手には銃を持っていたが、それよりも異様にギラついた男の眼に
「お前とゲームをしたい。キキキ」
廃墟の中に響き渡る不気味な笑い声。
自分は
「着いてこい」
男に
頭に銃を突き付けられた為、逃げられそうもなかった。
男に誘導され廃墟の奥へと進むと、悪臭はどんどんと強くなり、
男は有無を言わさず、ニヤニヤと笑いながら
辿り着いたのは、悪臭漂う浴室だった。
割れた鏡、古びたタイル、汚物のようなものがこびり付いた浴槽。
だが
死後、数週間は経っているのだろう。遺体は腐敗し始めている。
「キキキ。さあ、ゲームを始めよう。今から1時間以内に、この死体を解体しろ。頭、胴体、手足にな。出来たらお前を解放してやる」
男は死体を蹴りながら言う。
「ど、どうやって?」
「頭を使え。刃物が無くとも、お前には歯があるだろ。皮膚を噛みちぎり、骨を粉砕すりゃ解体くらい出来るだろ。キキキ」
あまりにも無謀な要求に
だが浴室から廊下に出た瞬間、
激痛の
「逃げようとしたな。ゲームオーバーだ。キキキ」
男は手にあるものを持っていた。
それは
「た、助けて・・・」
弱々しい声で
その瞬間、男は持っていた指を、
「どうだ最期の晩餐は?自分の指で窒息死出来るなんて最高だろ?キキキ」
万障2 岸亜里沙 @kishiarisa
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