夢見

星之瞳

第1話

「あの夢を見たのはこれで9回目だった」


「姫様、姫様。大丈夫ですか?」

私はゆっくりと目を開けた。

「大丈夫よ、かなで。近ごろ同じ夢を見るものだから」

わらわが起き上がると、奏は内着うちぎをはおらせた。

「姫様は夢見。夢には意味があるのでしょう」

そう、わらわは当代一の夢見。夢見が見る夢には意味がある。夢はいい事をばかりではない、時にはそれが災いの知らせの事もある。

「どうしたものか。9日間同じ夢を見る。でもそれが災いになるのかが解らない」

「それでは当代一の陰陽師に相談なさってはどうでしょうか」

「清明様か。お父様も絶対の信頼を寄せている。あの方に相談するのが一番か。奏、清明様に文を書く。それを届けておくれ。今日中に返事が欲しいと」

「承知いたしました」


そして、私は夢の内容を詳細に書いた文を奏に渡した。


夕方、安倍晴明から返事が来た。それを読んだ私は安心した。

「姫様?」

御上おかみにはこの夢は黙っていていいそうだ。災いは起きないと」

「それはよございました」


しかし清明からの文には気になることが書いてあった。

『姫様の見られた夢に出てきた者はこれから生まれてくる者。その者はものすごい力を有しております。ですが、私が命に代えても災いとならぬよう致します』


生まれてくる、力を持ったものが、だが国のわざわいにならなければそれでいい。



ピピピ、スマホのアラームが鳴る。私は目を開けるとアラームを止めた。

「何!今の夢?私どこにいたの?」ふーっと息を吐く。

「変な夢。あれって平安時代じゃないのかしら?」

私は普通の女子高生。だけど夢が現実になる、いわゆる正夢を見ることがあった。

「でも、今回の夢は過去の時代の夢、安倍晴明って実在したけど伝説の多い人よね。陰陽道おんみょうどうに優れて、母親がキツネだったとか言われて、不思議な力を使えた人だったよね。それにあの夢見の姫様私に似ていたような。まさか私の前世なの?」

夢と言うのは通常は記憶を整理するために見るものなのだそうだ。そうすると今回の夢は私の前世の記憶が何かの理由で呼び起こされたという事なのか?

この時代に力のあるものが生まれてくるという事なの?そうは思ったが、私には何も出来ない。過去の夢ならなおさら。


「さて、身支度して学校に行きましょうか」私は気持ちを切り替えると着替えて1階へと降りて行った。












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夢見 星之瞳 @tan1kuchan

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