ランチの後、サラリーマンの彼は、さあ、昼からも頑張るぞと歩き始めます。
すると、子どもたちを乗せた自転車のお母さんとすれ違います。おお! パワフルと思ったところ、背後で、ドン! と音が。
自転車がナニかをはねてしまった時はドキリとしましたが、そのナニかはみんなに見えていない様子。
この小さな事件の真相は、サラリーマンの彼にしか見えていないというのが面白い。
倒れた自転車を皆が助けてくれる。それをお母さんが大丈夫ですからと恐縮する場面などホッとする気持ちになりました。
読んだら心が温かくなる現代のおとぎ話ではないしょうか。
ぜひ、オススメいたします。
妖精との出会いは、とかく子供の頃に起こり得るものです。
しかし、本作の主人公は外回りのサラリーマン。
とても妖精と出会いそうにはないのですが……仕事が長引き、ダメもとで入った行きつけの店でランチに舌鼓を打った後、次の得意先へと向かう途中、出会ってしまったようです。
あるハプニングが起こる中で、健気な子供たちの姿に、そして通りかかる人々の優しさに触れ……主人公の視点を通して、とても暖かい気持ちになります。
そして、妖精の行動もまた……。
読了後、とても気分が軽くなるのを感じました。
こんな気分の日には花粉にめげずにちょっと近所を散歩したくなります。
春の日和のような、優しくて素敵な物語!
是非ともご一読ください!
この先生の文学の特徴の一つですが、
面白いもんで緩急というか、落差が凄まじいんですよね。
主人公は、外回りのサラリーマンで、行きつけの食堂により、
……いつもの飯テロが始まって……
どんな話なんだろうなーと思っていたら、
思っていたらですよ!? 思ってるうちにとんでもないことがいきなり起こるんです!
この先生いつもそうなんです!
びっくりさせらるのですが、今回も事が起きた瞬間「おい!!」と思わず声が漏れ申した。
そして、突発した事件にアワアワしているうちに、今度は物語のメインテーマが迫ってきまして、いつの間にかゴールを奪われているのですな。
まさに一瞬の緩急。緩急の魔術師。
ご一読を!
読み終えた後、心がぽかぽかする作品でした。
ある定食屋に立ち寄った男。おいしいメバルの料理を食べて満足する。
明日のランチはロコモコ丼なのがわかり、翌日も来るとしてキープしていく。
その帰り道、スナフキンを思わせる「妖精」らしき姿を見る。
直後に起こったある出来事。
そこで周囲の人々が咄嗟に動き、困っている人を救おうと束の間の団結をする。
人々の優しさが感じられてあたたかい。妖精らしき存在もそっと助けてくれてあたたかい。
「今日の夕飯」が何になるかが垣間見えてあたたかい。
優しい世界が感じられ、ポカポカとした気持ちになれるワンシーン。
家庭のあたたかさなどがしみじみと想起させられる、とても素敵な作品です。