妖精が見えるやつ

猫月九日

第1話

 小学生の頃の話だ。妖精が見えるというやつに会ったことがある。

 そいつは、別のクラスのやつだったんだけど、急に話しかけてきたんだ。


「やあ、君も見えるのかい?」


 ってね。

 俺はなんのことかわからず、きょとんとしてたんだ。

 そしたらそいつは、


「勘違いだったか」


 頭をかきながらそう言った。


 詳しく話を聞いてみると、どうやらそいつには妖精が見えるらしい。

 そいつ曰く、妖精は小さな丸い球みたいなやつで人間の周りをふよふよ浮いている。

 妖精には色があって、人によって周りに浮かんでいる妖精の色が違うらしい。

 だけど、そいつの周りには一色じゃなくて複数の色の妖精がいるんだって。


「君もそうだから、てっきり僕と同じなのかと思ったんだ」


 なんて言ってた。

 当時の俺は子どもだったからなぁ。すげぇなんて思ったのを覚えてるよ。

 でも、それだけ。

 クラスも違ったし、そいつはそれからすぐに転校していっから、そいつのことすら忘れていた。



 でも、最近になってそいつから連絡があったんだ。

 家にかかってきた電話を母ちゃんから受け取るなり、そいつはこう言った。


「君はまだ生きてたんだね……」


 わけわかんないよね。

 いきなりかけてきて何なんだって怒ろうとしたんだけど、そいつが話す口調が震えているというか……なんか変なんだよ。


「妖精の色の秘密がわかったんだ」


 わけがわからず黙っていると、そいつはいきなり話し始めた。


「妖精の色はその人の死因に関連しているんだ。赤だったらその人は火が原因で死んで、青だったらその人は水が原因、白だったら病気みたいな」


 めっちゃ早口だった。口を挟む暇もなかった。


「でも……そしたら……僕は……」


 それだけ言って急に電話が切れた。

 以降、かけなおしても、そいつが電話に出ることはなかった。



 それから数日、警察がうちに来た。

 そいつが行方不明になったらしい。そして電話の履歴があった俺のところに話を聞きに来たらしい。

 ただの同級生だったことを話したら、逆に警察から聞かれたよ。


「どうして彼は君のところに電話をかけたんだと思う?」


 その理由を考えて、


 俺はゾッとした。


 あいつがどうなったかはわからない。でも、もし、死んでいるとしたら……俺はその死因が知りたい。

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