10回目のライブ

バンブー

今度こそ……無事にライブをッ!

 あの夢を見たのは、これで9回目だった。

 違う、きっと夢じゃ無い。

 またきっと起こる。

 今度こそ……


★☆★☆


「みんな良い? 緊張するかもしれないけど、頑張っていきまーしょっう!」

「「「おー!」」」

「おー……」


 円陣を組んだ私達『響島5ひびきしま・ファイズ』はカナさんの掛け声に合わせて気合いを入れた。

 私意外は……


「どうしたんヒバっち?」

「カ、カナさん……」


 カナさんが笑顔で私に話しかけてくれた。


「ヒバリちゃん?」

「ヒバリ……」

「ヒバリン、笑顔笑顔! ピスピース!」


 メンバーの皆が振り返り、心配そうに私を見た。

 言いたい。


「……」


 実は私はこのライブステージを99

 そして、9

 死に戻りしている。


響島5ひびきしま・ファイズさん、ステージお願いしまーす」


 スタッフに声をかけられ、私達はステージの前に駆け出して行く。


『みんな会いたかったよー!』

「「「「「おおおおおおおおおお!」」」」」


 大歓声の中で私はまず頭を下げた。


 ——ヒュン!


 頭の上を銀色の何かがかすめる。

 ちゃんと調べた時にこれがナイフだってわかった。

 それに気づくまでに私は2回死んでる。

 いくつかのナイフを避け、踊りと歌いながら練習とは違う立ち位置に立ってメンバーの立ち位置をズラす妨害を行っていく。


「ヒ、ヒバリちゃん?」

「ごめんね……」


 いろいろな物が横かすめる。

 それでも3回で良い立ち位置を見つけて皆を守りきった。

 次から身体を張らなきゃ!


「「「「トリの降臨♪」」」」

「みんな止まって!」

「「「「えっ!?」」」」


 振り付けではダンス中に皆が前進して5人並ぶシーンなのだが。


 ブボボボボボボオォォォォォン!!


 皆が並ぶ位置に通常では考えられない程の炎演出が行われる。

 もちろんこんなのリハーサルに無く1回全滅した。


「「「「「おおおおおおおおおお!」」」」」


 会場は大興奮だが、メンバー全員動揺してるのがわかる。

 それでもリーダーのカナさんはソロでも歌い続け、メンバーも気を取り直して踊り始めた。

 だけど……


「カナさん危ない!」

「うわあ!?」


 私は踊るカナさんを抱き絞めて飛ぶ。

 その刹那——


 ガシャアァァァン!


 前列にいた私とカナさんの位置に照明機材が崩れ落ちてきた。

 私達だけで無くスタッフも、観客席の人達も唖然となり会場は静まりかえった。


「ヒ、ヒバっち……これって」


 カナさんが驚いているが私は立ち上がる。

 最後に黒幕が現れるはず……


「あああああああああああ!」


 ナイフを持ったスタッフの1人が会場に上がり私達に近づいてきた。

 そう、彼が黒幕。

 一度ライブを必死に中止しようと訴えていた時、楽屋で待機していた私に忍びよって彼に殺された。

 ライブも止められないなら彼の計画を台無しにするしかない。

 私はブーツと床の摩擦を感じ踏ん張りを確かめて前へかけ飛んだ。


「はあ!」

「ぐえ!?」


 私は彼にドロップキックを叩き込む。

 しっかり当たった彼は吹き飛び転がった。


「な、なにやってるんだお前!」

「押さえろ!」

「離せええええええ!」


 警備員とスタッフの人達で彼を押さえつけた。


「や、やった……」


 私は力が抜けてその場にへたり込む。

 やった……これで、終わったんだ。


「お、おい! なんか空から……」


 会場の皆がどよめく。

 徐々に空が赤く染まっていく。


「……え?」


 私は空を見上げる。

 すると空に燃え盛る大岩がコチラに向かってきた。

 熱が徐々に膨れ上がり、私達は——



★☆★☆



「はっ!?」


 私は自室の布団で目覚めた。

 時計は朝に戻っている

 私は死んでしまい、あれが10回目の夢になってしまった。


「うぅ……隕石はムリだよぉ……」


 あれだけ頑張っても死んでしまう。

 私は……どうしたら良いの?




 To be continued...




ーーーーーーーーーーーー

次回のエピソードは別作品として投稿します。

あらすじにてリンクを貼ります。

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10回目のライブ バンブー @bamboo

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