まあ一言で言うと、ちょうどいい言葉がありますよ。
友達以上、恋人未満。
中一からの、腐れ縁。
なんという、尊い響きなのでしょう。
だって、恋人になっちゃったら、あとは別れるだけじゃないですか。
家族になったとしたって、別れるか死に別れるかのどっちなわけだし……。
その点、最高の友人であれば、目を閉じるたびにいい思い出だけが脳内で再生されるのですよ。
こう言う『友達』……欲しかったなあ……。
この二人は、恋人になるのだろうか。
なりそうな気配で終わりましたが、私は密かに、ならないで、ずっといい友達のままでいたらいいのになあ……なんて思ったりします。
気持ちが若返りますよ!!
是非!
ご一読を!!
これぞ青春、という素敵な物語を読ませていただきました。
「魔法のiらんど」の優秀賞受賞作です。まさにその栄冠にふさわしい、初々しさとか、思春期のドキドキをこれでも堪能できる作品です。
主人公の谷川は、中学時代からの「友達」である男子生徒・久遠寺が「誰からも第二ボタンをもらってもらえなかった」と嘆かれる。
ひそかに秘めた想い。久遠寺のことを好きだと思いつつも、友達としての関係でいられることに満足し、それ以上は踏み込む勇気を持てなかった彼女。それでも久遠寺と一緒にいられるように頑張って高校受験までした過去もある。
「ちょっと子供っぽくて、少々鈍感な気のある久遠寺」と「大人びた感じを持ちつつも、一歩を踏み出せないでいる谷川」という対比がとても綺麗です。
久遠寺がその鈍感さゆえ、谷川に対して「ある頼みごと」をする。そこからの展開が本当に「尊い」という言葉を使いたくなる昂揚感に満ちていました。
「またね大好き」のお題の使い方がとにかく巧い。
この後、久遠寺はどんな気持ちで一日を過ごすだろう。鈍感だった男子高校生の「その後」の心情を想うと、頬が緩まずにはいられませんでした。