呪い
青切 吉十
呪い
その国では、美しい男の子が生まれると、母親はしくしくと泣きました。なぜなら、東の森から美しい魔女がやってきて、男の子をさらっていってしまうからです。
魔女のまえでは、王さまの軍隊さえ、防ぐことができませんでした。
魔女の城に連れられた男の子は、魔女の手で育てられます。美しさに磨きをかけて、魔女の恋人にするためです。
やがて、男の子が美しい青年になると、二人きりの甘い生活を魔女は楽しみます。
しかし、しかしです。いつも、いつもそうなのです。
魔女はやがて、お腹が空いて、どうしても青年を食べたくなってしまうのです。
愛していれば愛しているほど、大切に思っていれば大切に思っているほど、どうしても若者を食べたくなってしまうのです。
同じことを繰り返していてはいけないと、魔女も我慢はします。今まで食べてしまった男たちの顔が魔女の脳裏に浮かびます。しかし、いつも耐えることができずに、魔女は恋人を魔法で豚に変えてしまいます。
そして、丸々と太った美しい豚を自らの手で屠り、ごちそうをこさえます。
冷酷で傲慢な魔女もこのときばかりはしおらしくなり、しくしくと泣きます。泣きながら、夢中でごちそうを食べます。
泣けば泣くほど、食べれば食べるほど、魔女は若返り、美しくなっていきます。
そして、食べ終わると、自分にふさわしい恋人がいないことに魔女は気がつきます。食べてしまった恋人のことはけろりと忘れて。
それから魔女は、腹ごなしに、新しい男の子を探しに出かけます。
呪い 青切 吉十 @aogiri
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
骨/青切 吉十
★47 エッセイ・ノンフィクション 完結済 1話
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます