じわじわ来る小説です。
会話文のみで構成され、夜中に散歩に出かけた女性が「話聞こか?」という謎の存在と遭遇します。
その先で続く「うん」という返しの連続。
優しい顔をしている相手が、本当に優しいとは限らない。
想像してみて欲しい。いかにも『ヤ〇〇』な感じの人が現れて、「うんうん」と笑顔で自分の話を聞いてきたらどんな気持ちになるか。
間違いなく、その先に待っていることでしょう。「じゃあ、〇〇しよっか!」みたいな。最後まで笑顔のままで。
きっと、逆らうことはできません。ずっと『笑顔』で優しい顔をされ続けることで、『それが消えた時の状態』を想像させられるという怖さ。
本作に出てくる怪異。『プロ幽霊』とでも呼びたくなります。
そんな光景も浮かんできて、とにかくじわじわ来る作品でした。