追いかけられた場所

stdn0316

第1話

 東京で働く姉が実家のある田舎に帰ってきた。

 活発だった姉は酷く憔悴しており、仕事も辞めてきてしまったという。


 その理由は、姉に降りかかった怪奇現象であった。それらは執拗かつ多岐に渡り、下記のような現象であった。


 ・金縛りにあう


 ・リビングとキッチンの間のドアに人影が映る


 ・会社PCのデスクトップ上に「ヲ」という名前の空のフォルダが毎日作成される


 ・「おいでおいでおいでおいで」という女性の留守電が、彼女が帰宅すると同時に入る(何時に帰っても帰宅と同時である)


 ・深夜2時にインターホンが3回鳴る(怖くて画面は見られなかったらしい)


 ・あるアカウントが彼女のSNS投稿を何年も遡ってリポストしたりグッドボタンを押すことを繰り返し、ブロックしても別のアカウントから実行される


 ストーカー被害を疑い警察を頼ったが、怪しい人物はいないという。

 仕事にも支障をきたし、すっかり心の折れた彼女は田舎に帰ることにした。


 実家では、怪奇現象は全く起こらなかった。

 あの東京の部屋に、何かよくないものが棲みついていたのだろうか。


 1年以上かけて彼女は徐々に元気を取り戻し、回復を喜んだ両親が、縁側に正座して微笑む彼女の写真を撮影した。


 少しやつれたが安らかに笑う姉。

 縁側から見える居間の左奥。

 おかっぱ頭の少女の真っ黒な人影が、姉と同じ正座をして写り込んでいた。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

追いかけられた場所 stdn0316 @stdn

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ