第四章:帰る所

しずくがいなくなってから、千尋は静かに涙を流す日が続いた。


でもある日、不思議なことが起こった。


庭に出た千尋は、「あの声」を聞いたのだ。


「ミャウ……」


「……しずく?」


心臓が跳ねる。


もちろん、そこにしずくはいない。


だけど、千尋には分かった。


しずくは、ここにいる。


「しずく……やっぱり、ずっと一緒なんだね」


風が優しく頬を撫でた。


まるで、しずくが千尋に触れているように。


千尋は涙を拭き、そっと微笑んだ。


しずくの帰る所は、千尋の心の中にずっとあるのだから――。

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『しずくの帰る所』 如月 煌 @medotu

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