メーデー!宇宙船事故の真実と真相
片月いち
※これはフィクションであり、公式記録、関係者の証言を元に構成されていません。
わたしたちは、自分の命が明日も変わらずあると思っている。
いつもと同じ毎日が、これからもずっと訪れると信じている。
だが、それは本当だろうか?
ちょっとした思い込み、わずかなすれ違いが、時に重大な事故を招くことがある。
自分たちの命が、そんな事故に巻き込まれない可能性がないとは言い切れないのだ。
今回は、ほんの少しのミスで120名の生命が失われかけた、とある宇宙船事故についてお伝えしよう。
◆◆メーデー!宇宙船事故の真実と真相◆◆
CASE1:スターゲイザー702便緊急着艦事故
宇宙暦7452年。
太陽系第二地球マーズ宇宙港より出航したスターゲイザー702便のコックピットでは、けたたましい警報音が鳴り響いていた。
警報は酸素タンクの残量不足を示すものだ。
スターゲイザーには、乗客、客室乗務員を含め、120名の搭乗者がいた。
その120名の命を支える酸素が、枯渇しようとしていた。
◆スターゲイザー702便機長ドレーク・サイモン
『はじめは計測器のトラブルだと思いました。タンクの残量検知計がうまく作動していないのだと。それはままあることだったからです』
――当時、宇宙船の酸素タンクには二種類の酸素が保管されていた。
銀河連邦民と太陽系惑星民とでは必要な酸素濃度が違う。
それぞれの生態に合わせた濃度の酸素を、同一タンクに保管するため、タンク内に可動式の仕切りを設けていたのだ。
乗員数に合わせて仕切りを移動させ、タンクの容量を調整する。
フライトごとにタンク容量が変わるせいで、残量検知計がエラーを起こすことがまれにあった。
『タンク内を監視しているAIの残量報告では残り98%ほどとなっていました。なので私は、計測器のトラブルだろうと決めつけてしまったんです』
――スターゲイザーには、設計時にタンク内に設置された計測器の他に、別途多様なセンサーを新たに設置し、AIによる計算で酸素残量を報告させる二重監視体制をとっていた。
機長は経験により、AIの報告が正しいものと判断したのだ。
『でも、続けて第二タンクでも同じ警報が鳴ったとき、全身から血の気が引きました。
取り返しのつかないことが起きていると気づいたんです』
◆マーズ宇宙港管制センター管制員ウルフ・ロマノフ
『そうです。私が最初にスターゲイザーの信号をキャッチしました。
マーズからツァラトゥストラの間を航行中だったスターゲイザー702便から非常事態信号が届いたんです。
機長から内容を聞いたときは耳を疑いましたよ』
――マーズから出航したスターゲイザーは、すでにワープ航法を使って太陽系外まで移動していた。
目的地であるツァラトゥストラに行くにしても、マーズ宇宙港に引き返すにしても遅すぎる。
彼は事故当時のことをこう振り返る。
『たしか私は、機長にこう言ったと思います。――なんてことだ。もう助からないぞ!……ってね』
――宇宙船内で酸素が枯渇することは、生物にとって死を意味する。
それは銀河連邦民も太陽系惑星民も同じことである。乗員120名の命のタイムリミットが、刻々と近づいていた。
◆スターゲイザー702便客室乗務員ミザリア・フロントファー
『当初、酸素タンクの残量については客室乗務員には情報を伏せられていました。お客様に関しても何も知らないでフライトを楽しんで頂いていましたよ』
――生物は生命の危機に瀕すると、呼吸が粗くなり、通常より多くの酸素が消費される。
機長は社が策定した危機管理ガイドラインに従い、酸素タンク事故についての情報を客室乗務員にも知らせていなかった。
『ただそのあと、自動操縦システムのトラブルで進路変更するというアナウンスが機内に流れ、客室が少しざわついたのは覚えています。
我々も何も知らされていなかったのですが、機長はベテランで管理体制も万全である旨をお客様に説明して回りました。
――ええ。マニュアル通りです。ただ漠然と嫌な予感はしていましたね』
――このままでは酸素不足によりどこにもたどり着くことができない。機長は管制センターと情報共有を行い、太陽系外縁にあるグリムドール宇宙基地への進路変更を決定する。
軍事基地であるグリムドールならば大規模な酸素生成装置があるはずだった。
だがスターゲイザーは、すでにグリムドール宇宙港を過ぎた後だった。
◆スターゲイザー702便機長ドレーク・サイモン
『スターゲイザーは到着予定時のツァラトゥストラ宇宙港に相対速度を合わせて航行していました。
――ええ。慣性航行です。そこから引き返すとなると燃料が保つかどうかも考えなくてはいけませんでした』
――宇宙船の航行は慣性航行が主流である。とくに惑星間移動のような長距離航行の場合、重力系からの脱出速度に達したあとは、新たに加速することはない。
あるとすればワープ航法を利用した加速だが、あれは量子トンネル効果を利用した宙域ワームホールでの移動であり、宇宙船が主体的に加速しているわけでない。
宇宙船はあくまで到着地点との相対速度を合わせた慣性で移動するのが常である。
それはつまり、引き返すにはこの慣性加速度を超えるエネルギーが必要ということでもある。
『管制センターが出した計算結果では、スターゲイザーに搭載された燃料量では慣性加速度を超えられないとのことでした。
減速はできても反転加速するだけのエネルギーが出力できないのです。
私はこの船の命運が決まったと思いました』
◆スターゲイザー702便乗客マルクス・ローウッド
『突然、進路変更のアナウンスがあって客室は騒然としましたよ。私はマーズにはよく仕事で来ていたんですがこんなことは初めてでしたから。
次第に客室乗務員たちも慌てはじめて、なにかとんでもない事が起きているとわかりました』
――当時、発展途上であったマーズには、太陽系外から多くの企業が参入して開拓に当たっていた。
多額の資金が投入され、不動産バブルのような状況になっていたのだ。
彼のように実際にマーズと太陽系外を宇宙船で行き来するビジネスマンは珍しくなかった。
『マーズには三日ほど滞在してすぐに帰国することになりました。スターゲイザーも慌ててチケットを取ったんです』
――彼はこめかみを抑えると、震える声でこう続ける。
『ツァラトゥストラで待っている妻が産気づいたと連絡があったんです』
――かくして絶体絶命の危機に陥った宇宙船スターゲイザー702便。
すでに酸素タンクの残量は三分の一を切り、反転航行するための燃料はない。
広大な宇宙で互いに移動をし続ける惑星間航行において、事前の航行計画がすべてである。
余計な燃料を増やして重量が増せば、停止するために必要なエネルギーも増大する。計画に合った分の燃料しか積載できないのだ。
しかし、一部例外も存在していた。
◆グリムドール軍事基地副司令バストゥーク・カルダノフ大佐
『報告を受けたわたしは言いましたよ。すぐに艦を出せ! ってね』
――不測の事態を想定して動くことが存在意義である軍事艦艇だけは、この致命的なトラブルに対処する方法を持っていた。
すなわち、まだ民間では一般的ではなかった反物質エンジンによる推進システムである。
『我々はスターゲイザーを救出するために宇宙空母を基地から発艦させました。
前例はありませんでしたが、スターゲイザーを空母に着艦させるしかないと判断したんです』
――こうして、スターゲイザーの軍事空母への着艦作戦が計画された。
ランデブーポイントは太陽系外縁カイパーベルト帯後方の宙域A882。
スターゲイザーは慣性によって滑るように移動する中、前方に回り込んだ空母がこれをキャッチする。
当然、軍事空母と民間機であるスターゲイザーはデータリンクによる着艦誘導はできない。
すべてのシークエンスがマニュアルでの操作となった。
◆スターゲイザー702便機長ドレーク・サイモン
『空母着艦の経験ですって? そんなもの当然ありませんよ。
でも、私の操縦桿に120名の命がかかっていたんです』
――現在、スターゲイザーはエンジンを反転方向に噴かせることで、なんとか慣性速度を低減させている状況だった。
移動を続ける宇宙船をマニュアルで空母に着艦させることは、戦闘機のパイロットであっても難しい。
甲板に降り立ちさえすれば、強力な電磁石で停止できる計算だったが、一つ間違えば大事故に繋がる。
だが、幸い、多数の艦載機運用を想定している空母では、通常の港へのドッキングに比べて、着艦スペースは広く開放的に作ってある。
そこに活路を見出すしかなかった。
『賭けになりますが、やれると思いました』
◆スターゲイザー702便客室乗務員ミザリア・フロントファー
『機長からの通信で乗務員には事情が説明されました。最初は顔が真っ青になりましたよ。中には泣き崩れる同僚もいました。
……ですが、お客様はもっと不安だったはずです』
――機内アナウンスと乗務員の説明により、乗客にもスターゲイザーが空母に着艦することが知らされた。
乗務員たちはパニックになる乗客をなだめ、着艦を前にシートベルトの着用や非常用携帯酸素ボンベの準備を進めていった。
『私は機長の腕を信じました。私たちが信じなければ、お客様も信じられなくなります。
機長は必ず着艦に成功すると、お客様に何度も呼びかけたのです』
◆グリムドール軍事基地副司令バストゥーク・カルダノフ大佐
『宇宙空母レザノリアは円筒型の空母です。円筒の中に着艦させなければならず、我々は魚を網で捕まえる要領でスターゲイザーと相対速度を合わせる必要がありました』
――通常であれば降りる側が速度を合わせて着艦するが、現在のスターゲイザーは空母の位置情報をデータリンクによって拾うことができない。
空母レザノリア側がスターゲイザーに合わせて速度を調整する必要があった。
しかし巨大な空母に繊細な調整は難しく、おおよその速度を合わせたら、後はスターゲイザーが微調整する必要がある。
『着艦は一発勝負でした。いつも拾っている戦闘機とスターゲイザーでは大きさがまるで違います。
民間機といえど120名が乗る中型船。もし衝突すればレザノリアが大破してしまう可能性がありました』
◆スターゲイザー702便乗客マルクス・ローウッド
『私はずっとシートに座って神に祈っていましたよ。
……後悔もあったと思います。マーズ行きの件で妻と言い合いになっていましたから。こんな時期に行かなくてもいいじゃないかと』
――ツァラトゥストラからマーズは船内時間でおよそ三日のフライトとなる。超光速移動を可能とする宙域ワームホールによるワープ航法は時間遡行効果があるので、船外時間では三時間程度だ。
超光速ネットでリアルタイムでの通話も可能なので、実際の距離ほどには遠い場所ではない。
ただし、着艦が失敗してもっと遠い場所に行ってしまえば、その限りではない。
『私が天国に行ってしまえば、妻は一人で子供を産むことになります。
産まれてくる子も父を知らぬ子になってしまう。なぜ仕事を優先してしまったのだろうとずっと悔やんでいました』
――だが、彼がふと窓の外に目をやると、信じられない光景が広がっていた。
『小さな光……いえ、宇宙船が連なって巨大な筒までの道を作っていました。戦闘機の光が見えないレールとなっていたのです』
◆スターゲイザー702便機長ドレーク・サイモン
『空母からの口頭通信でおおよその座標はわかっていました。ですが着艦となるとより繊細な操作が求められます。しかも今はマニュアル操作です。せめて手前にガイドがあれば……と思っていたころでした』
――そして、乗客が見ていた光景を機長も目にすることになる。多数の艦載機が空母までの道筋を示すように連なっていたのだ。
それは極めて原始的な誘導路だった。しかし、だからこそこの緊急事態において絶大な効果を発揮する。
『私にはそれが希望への道筋に見えました。連なった艦載機は次々に移動しながら船の進むべき先を示してくれました。私はそれに従うだけでよかった。しばらく進むと円筒状の空母の姿が見えてきました』
――機長は慎重に機体を操作し、円筒の中にスターゲイザーを滑り込ませる。すると、電磁石の力で機体は少しずつ速度を落としていった。
やがて完全に停止し、円筒の内側でハッチが開く。スターゲイザーが空母レザノリアに格納されていった。
『機体が空母に吸い込まれていったとき、私はずっと操縦桿を握っていました。すぐに酸素タンクへの補充が行われ残量警報が消えた後もずっと。
中に入ってきた基地司令に肩を叩かれて、私はようやく生還できたのだと実感したのです』
◆スターゲイザー702便客室乗務員ミザリア・フロントファー
『機体が空母に格納されて完全に停止した瞬間、私は大きく息を吐きました。お客様が次々とシートベルトを外して立ち上がり各々に抱き合っているのを見ていました。
――おかしいでしょう? 私は同僚に指摘されるまで、自分が涙を流していたことに気づかなかったんです』
◆グリムドール軍事基地副司令バストゥーク・カルダノフ大佐
『その後、我々はスターゲイザーの乗員のもとに私がいれた紅茶を提供しました。彼らはしばらく興奮状態でしたが、それでようやく落ち着いたようでした。
いつもは部下にうるさい拘りと煙たがられる紅茶が、こんな風に役に立つ日が来るとは思ってもいませんでした。
……そこで私は密かに決意したんです。退役後には、辺境の惑星で喫茶店を開こうとね』
――こうして、702便に搭乗していた120名の命は救われた。
咄嗟の機転で空母を動かした基地司令、進路変更のルートを素早く割り出した管制官、マニュアルで正確な操作をした機長、機内のパニックを最小限にとどめた客室乗務員、艦載機で空母までの道筋を示したパイロット……。
無事にスターゲイザーを帰すという、全員の努力の結果であった。
しかし、疑問は残る。なぜスターゲイザーの酸素は枯渇したのだろうか?
事故後、銀河連邦の運輸安全委員会は調査に乗り出した。
◆運輸安全委員会調査員ローラ・ストランヘル
『ブラックボックスのデータにも発艦前に酸素タンクの補充が記録されていました。さらにマーズ宇宙港にも、必要量がたしかに補充されたと記録されていたんです』
――では、なぜ酸素はなくなってしまったのか?
委員会はスターゲイザーのタンク内部を調査したが、タンクに亀裂等は見つからず破損による漏洩とは考えにくい。
『そこで私達はマーズ宇宙港にある酸素生成装置の方に着目しました。補充が行われていたのなら、装置の酸素量が変化しているはずです』
――だが、彼らが確認したところ、生成装置の酸素は微々たる量しか変化がなかった。必要な酸素補給量にはまるで足りない。
最初から、スターゲイザーは途中で酸素が枯渇することが決まっていたのだ。
そもそもマーズ宇宙港から出航した時点で、酸素タンクの残量は十分ではなかった――。
この事実は事件の関係者に大きな衝撃を与えることとなる。
そうして運輸安全委員会は、事故原因をAIの誤作動によるものと結論づける。
当時の宇宙船は、AIによって酸素や燃料を自動的に補充するシステムを採用していた。
これが動作ミスをしたというのだ。
しかし、生物と違い勘違いや手順ミスなどあり得ないAIが、どのように誤作動したと言うのだろう?
彼らは我々のインタビューに続けてこう答えた。
『AIは…………十進法を用いて酸素量を計算していたんです』
◆ケンタウルス座F875-33Zノーベルバード機械学大学教授ゼノン☆ヘーゼンザー
『十進法とは、太陽系惑星民のあいだで使われていた特殊な進数法です。十で一ケタ繰り上がるという奇妙な特性を持っています』
――我々が通常使用するのはF進法。十進法的に表現するなら十六で一ケタ繰り上がりだ。これは銀河系の共通進数法として広く普及し、銀河連邦の標準規格として様々な場所で利用されている。
当然、宇宙船などは惑星間航行法によってF進法を使用するよう定められているが、AIは酸素量を計算した数式に、部分的にこの十進法を採用していた。
結果、間違った数え方で計算され、間違った量しか補充されなかった酸素は、航行途中で枯渇した。
『AIは数字の意味が理解できません。酸素が足りなければ生物は死ぬという当たり前がわからないのです。
なので彼らは、最も節約的に船を動かすために最適な計算方法を使用しました』
――当然ながらスターゲイザーの航行計画はF進法で考案された。F進法の計画された必要酸素量に十進法で補充すれば、なるほど、見た目上の数値は大きな節約となる。
AIは自分に課せられた効率的な航行という課題に対処すべく、太陽系惑星民のみが使用していた十進法という計算方法を独自に活用した。
それが宇宙船に搭乗する者たちにとって致命的な結果をもたらすと理解できずに……。
『いくら我々と同じような振る舞いが出来たとしても、AIと我々は根本的に違う存在なのです。これはどんな高度な設計を施しても変わりません。彼らは異星人より遠い存在なんですよ』
――現在、太陽系内でも進数法はF進法を標準規格に改めている。無論、AIが使用する進数法もF進法で厳格に設定された。
しかし、当時、銀河連邦に加盟したばかりの太陽系惑星民は、この一風変わった十進法を標準規格としており、その拘りも強かった。
太陽系内ではF進法と十進法が混在している状況だったのだ。
さらに、銀河系惑星民の大半はF進法を日常的に使用しており、それ以外の進数法に目をやることはあまりなかった。
AIがF進法以外の進数法を勝手に使用する、という事態をまるで想定していなかった。
事故はこの変遷の過渡期に起きたものだった。
◆スターゲイザー702便機長ドレーク・サイモン
『あの事故の後も私は何度も惑星間を航行してきました。ですが、あれほどハードなフライトはありませんでした』
――宇宙船搭乗前、見事にスターゲイザーを空母へ降り立たせた機長は、我々のインタビューにこう答えた。
彼は今年で423歳になる。彼が鍛えた多くの後輩たちは、今やベテランとして各地の宙域を飛び回っている。
彼は今回のフライトで船を降りるつもりだった。
『最後のフライトも安心安全を最優先します。どんなところへでも機体を降り立たせますよ。――もちろん空母でもね』
◆スターゲイザー702便乗客マルクス・ローウッド
『事故後しばらくして別機体でツァラトゥストラに帰国しました。宇宙港は見物人やマスコミの記者らでとんでもない混雑でしたよ。家族と抱き合っている乗客もいました』
――スターゲイザーの乗客は航宙会社が用意した別便によってツァラトゥストラに向かった。
事件はツァラトゥストラでも大々的に報道されており、港に降り立った彼らは多くの人々に祝福された。
一時は生存を絶望視されていたのである。彼らは一躍時の人となった。
当時乗客だった彼は、こっそり裏口から病院に向かい、なんとか第一子の出産には間に合ったらしい。お陰で妻に恨まれずに済んだ、とのことだ。
『産まれたのは、女の子でした。私は彼女に会えたことを心から喜び、泣きました。あんなに泣いたのはその後の人生で一度だけです。
え、それがいつかって? ――決まってるでしょう? 娘の結婚式ですよ』
――AIへの過度な信頼によって起こった民間機の空母緊急着艦事故。
今ではAIに対する姿勢も見直され、最終的には責任ある当事者の確認が重視されるようになった。
また十進法という奇妙な進数法も廃され、私たちは進数法の違いによって誤解を招くようなことも少なくなった。
それは今を生きる我々からすれば当たり前のことだ。
しかし、当たり前が当たり前になるには、多くの失敗と時間経過が必要なことは言うまでもない。
現在から見れば奇妙に映るだろうこの事故も、当時は思わぬ落とし穴、過渡期ならではの事故であったことは間違いない。
だが、忘れてはならない。
今、この現在でさえ、遠い未来から見た過渡期に過ぎないことを。
思い込みによる落とし穴が、目の前に開いているのかもしれないことを。
私たちの命は、いつもと同じ明日は、当たり前ではない。
次に事故に巻き込まれるのは、あなたかもしれないのだ。
この事故の記録が教訓として活かされることを願って、今回の話は終わりにしよう。
あなたの明日が、変わらず訪れることを祈りながら――――
◆◆◆◆
メーデー!宇宙船事故の真実と真相 《終》
メーデー!宇宙船事故の真実と真相 片月いち @katatuki
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