作者に対して、今更にどれだけ称賛の声を送った所で
ただのファンレターになるので、この作品を読んでみようかな?と一瞬でも思った人の為に書きたい。
まず最初に、外伝かぁ、と思った人。
大丈夫、まったく問題ない。なんならフルメタを一度も読んだ事がなくても大丈夫。
この短編を楽しむにあたって必要な情報は全て短編内にある。
つまり、必要最低限で必須の情報が読めば分かるようになっており、そしてキャラクターが分かるのだ。
この時点で本当に凄い事なのだが、読んで実感してほしい。
セリフが少なくて、と思うかもしれないが、数行読んだ時点でその懸念は霧散するだろうし、最後まで読んでいるだろう。
いいから、読め。
とにかく今すぐ読め。
このレビューなんてブラウザバックして良いから。
シリーズありきのストーリーなんでしょ? と思ったそこの人。
何一つ問題ない、読め。
少女が一つ経験を積み、成長する、その過程を書いた物語で
恐ろしいほどに短編として完結している。
シリーズ読者は完全に出てくる名前にちょっとニヤって出来る程度だ。
数多の作者がやろうとしてもなかなか出来ない、キャラクターが行動によって変化し成長する様子を、実に巧みに書いている。
ほんの少しのネタバレにもならないようなネタバレを書くが
最期に少女が父親に声を掛けられるが、そのセリフが無くても読者は少女が成長した事を実感しているだろう。
父親の最後のセリフは作者の気遣いに他ならない。
なんだこれ、完璧か。
そう、実に完成度の高い短編なのである。
小説を書いている人間の端くれとして、奥歯ギリギリさせながら悔しいでも面白いと
ジタバタしながらレビューまで書けるほどに良く出来ているのです。
良いから読め。