その人の名前を誰も知らない 冤罪に散った一兵士の物語
館華カオル
まえがき
私は以前「変わった特攻機」や「信じられないようなありえない特攻機」について調べていた。
その時に「さくら弾機」というバカでかい爆弾を積んだだけの機関砲も機関銃もない攻撃力ゼロの戦闘機に出会った。重い爆弾を搭載しているため、飛行速度は落ちる。敵機に遭遇しても逃げ回ることしかできない。
終戦までに6機(9機という説もある)が完成に至ったが、訓練事故で2機、行方不明で1機喪失。
こんなまるで気球のような特攻兵機で特攻を命じられた隊員たちの境地はどんなであったろうか。不安だらけだったと思う。
そして私は彼に出会った。写真で見る限り、長身でハンサム。淋しそうな瞳。純朴な青年に見える。だが彼は奇しくも戦争という荒波にもまれ、不幸な運命に翻弄されていく。
彼の悩み、苦しみ、その欠片(かけら)でも触れたい。
残された資料がほとんどなく、彼が何を考え、何を思っていたかが想像するしかない。
だが歴史の闇に埋もれてしまった「さくら弾機放火事件」について私なりに解釈して紐解きたいと思う。
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