浮遊
セン
一夜
冷蔵庫のいびきが、静かな夜に響き渡る。
日が変わったことで更新されたweb漫画に、自分の「いいね」だけが色を付ける。それは優越感とも思えたが、世界に自分一人になったような、そんな不安へと変わった。
古びたアパートの、小さな一室。窓から入る信号の光が赤から青へと変わっても、何かが動き出す音は聞こえない。
子供の頃、夜更かしに憧れを持っていた。人々が眠りについているはずの時間に、自分だけが起きていて、それを咎める者は誰もいない。夜なら自由になれると、淡い期待を抱いていた。けれど大人になった今、それは間違っていたのだと思い知った。暗闇と静寂。それらはとても相性が良く、まるで自分の中から何も無くなったかのような、そんな不安に陥らせた。自由を手にして軽くなったはずの心は、空っぽになっただけだったのだと、そう思った。
夜は自由ではない。深く重い暗闇が、私をゆるやかに沈めていく。
自由とは、身軽で、気楽で、けれどもずっと孤独な物なのかも知れない。
私は私だけの静かな孤城で、そう痛感しながら、薄い布団に身を預けた。
浮遊 セン @sen_nes
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます