バーチャルゲーム

はすみらいと

バーチャルゲーム


 おもむろに少年は壁に指をスライドさせ、液晶画面モードに切り替え、ゲームを起動しバーチャルモードに許可をする。彼らの世代で流行り根強い人気を誇り、魅了してやまないもちろん彼も例外では。なかった。起動するまでの間渇ききった喉を炭酸飲料で潤すことに費やし、服の襟元をひっぱり扇ぐ。これのために学校から急いで帰ってきたのだ、彼の焦りにも似た期待とは裏腹に、画面はゆっくりと立ち上がる。呼吸をとめて画面にくぎづけになる、画面はシンプルでタイトルと黒い背景だけで目新しさを感じられない。数秒後New Gameと表示が出て、タップをすると始まった。どこかわからないよくある教室に主人公が映し出されていた。黒板の前まで動くと学級裁判とだけ書かれている、近くの生徒に話しかけてみると学級裁判について説明が成された。

 内容は要するにこうだ、ありきたりではあるが。この世界では問題が起きてしまうと匿名式のリアルタイム裁判が行われ多数決で名前を記入された者は判決が下されるというもの。今回は主人公のクラスで花瓶が割れそれを見ていた目撃者がクラスメイトAを裁判にかけたらしい。今から投票が行われるらしいのだが、本人は固くなに認めていないようだ。選択画面が表示されAに投票を押し、しばらくして二度目の確認が行われ勿論はいを押す。もっといえばクラスのほとんどがAに票を入れ有罪判決が言い渡されて、教師に退室を命じられた。そうして次々に状況や場所が変わり裁判がとり行われていった。

 気が付けば画面にClearとだけ書かれていたがタップするとこれは試運転であると表示され勝手にテレビモードに切り替わる。流れているニュースから聞こえてくる内容に体を震わせ、目を疑う。画面にはさっき見たゲームキャラそっくりの人物が死んでいた。すべてだ。さらに画面が真っ暗になり文章が表示されていく。


『あなたは投票の結果、有罪になりました。よって。ただちに職員による死刑がとり行われます。』


 言われるがままに彼らは何の疑いもなく投票し有罪を選択し、彼らは無意識の殺人を行った。


「実験結果は以下の通りです。人口削減は誰にも知られることなく順調とのこと」


 自分達によって自分達が殺しているということを知らずに。

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