努力は必ず報われる

丸子稔

第1話 骨を折る=努力する

 今回のお題『骨』を目にして、真っ先に私の脳裏に浮かんだのは骨を折るでした。 

『骨を折る』という言葉には、文字通り骨折するという意味のほかに、苦労をいとわず精を出して仕事に励む、面倒がらずに努力する、苦心して人の世話をする等の意味があります。

 私はこれまでの人生で骨折をしたことがないので、そのことについては書けません。

 なので、今まで生きてきた中で、一番努力したことを書こうと思います。


 それは間違いなく高校時代です。

 私は商業高校に通い、簿記部に所属していました。

 簿記といっても、良く知らない人もいると思いますので、簡単に説明します。


 簿記とは、企業などの経済主体が経済取引によりもたらされる資産・負債・純資産の増減を管理し、併せて一定期間内の収益及び費用を記録することです。


 どうですか? これで簿記のことは理解できましたよね?


 えっ、まだよく分からないって?

 安心してください。

 一級を取得している私も、完全には理解できていませんから(笑)。


 高校の簿記には検定を受けるほか全国大会というものがあり、私が所属した簿記部は二、三年の時に全国大会で二連覇を果たしました。(この後、後輩も頑張り四連覇を成し遂げます)

 大会は各学校の上位三名の得点で争われるもので、私は二年の時は優勝メンバーに入れず、非常に悔しい思いをしたことから、三年になったら絶対優勝に貢献してやると密かに燃えていました。


 私の学年は非常に優秀な生徒が三人いて、彼らは当時高校生で取得するのはほぼ不可能と言われていた、日商簿記検定の一級に合格するという快挙を成し遂げました。奇しくも、それが発表されたのは全国大会の予選が行われる前日でした。

 予選の結果は無論我が校の圧勝で、上位三名も当然のように彼らでした。

 かくして私たちは全国大会二連覇を目指して東京に旅立つのですが、その車中私は(三強の一角を崩して、優勝に貢献する。じゃないと、この一年の努力が無駄になる)と思っていました。


 私の高校時代は麻雀が流行っていて、学校の休憩時間はもちろん、休日は友達の家で朝から夕方までひたすら打っていました。(学校では紙マージャン、家では麻雀牌でやっていました)

 しかし、二年次の全国大会が終わってからはそれを極力封印し、(といっても、たまには打っていましたが)やたらと数の多い女子生徒たちからの遊びの誘いも断り、(生徒の8割が女子)、テレビの時間も減らし、他の教科を疎かにして簿記に打ち込みました。

 しかし、そのせいで他の教科の成績が軒並み落ち、決まりかけていた大学の推薦入学がパーになりました(笑)。


 そういうわけで、いくら彼らが優秀とはいえ、簡単に負けるわけにはいきません。大会は簿記の知識もさることながら、スピードもかなり要求されるので、計算の得意な私は、できるだけ問題量が多くなることを願っていました。


 すると、願いが通じたのか、問題は過去五回と比べて二割増しくらいの量で、それを見た瞬間私は心の中でガッツポーズをしました。


 結果、私は三強の一角を崩して二連覇に貢献することができました。


 それが分かった瞬間、私は二連覇したことより嬉しかったのを今でもよく覚えています。


 

 その後数十年が経過し、現在仕事の傍ら、こうしてカクヨムで執筆したり、小説や脚本の公募に挑戦したりしていますが、もしかするとこの時に経験した苦労が活かされているのかもしれませんね。


 了


 

 



 

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