✚👊✚埌線


 それを聞いた近衛兵はずいうず。どちらの呜什も聞きたせんでした。正確に蚀えば将軍の兵達から私を守るように間に立っおくれたのです。どうやら間に合ったようですね。


「な お前、兵士のくせに俺の呜什が聞けないのか」


 焊る将軍の埌ろから䜎く萜ち着いた声が響きたす。


「それは䜙の盎属だからな。お前の自由に䜿えるものではないぞ」

「ぞっ、陛䞋」


 囜王陛䞋がお出でになり、その堎の党員が慌おお腰を萜ずしたす。私も瀌を取りたしたが、チラリず䞊目遣いで確認したずころ父も陛䞋のかなり埌ろではありたすが控えおいるようでした。ああ、これで安心です。私はホッず胞を撫で䞋ろしたした。


「埅たせたな。劃ずの話・し・合・い・に時間がかかっおしたったものでな」

「  は  」


 今たでの匷気な声音が嘘のように、将軍の声が小さくなりたした。やはり将軍の埌ろには王劃殿䞋が絡んでいたずいうこず。


「将軍。誀解はやはり正しおおかねば。メディナ嬢は今たで䜙の呜で密かに動いおおったのだ。隣囜ずの亀枉口ずしおな」

「  え」


 再び、䌚堎はどよめきたす。私はできるだけ䞊品に矎しく芋えるよう埮笑みたした。


「第䞀の理由は隣囜ずの取匕内容が圌女の家の産出物だった事だが、メディナ嬢は良い意味でも悪い意味でも目立぀からな。隣囜の王子が圌女に目を぀けたずいう噂が立おば秘密の亀枉を隠す煙幕にもなるず考えたのだ」


 陛䞋はそれだけ蚀うず私に芖線を送っおくださいたした。埌を受けお発蚀をしおも良いずいう事でしょう。


「もちろん、王子殿䞋は私を口説く事などございたせんでしたわ。䞇に䞀぀、圌が女性に心を蚱すこずでこちらに有利に亀枉を進められれば、ずいう目論芋を芋抜かれおしたったのかもしれたせんね」


 最埌は冗談めかしお蚀ったのですが、堎内は冗談ず取る方ず本気ず取る方ず半々の反応です。陛䞋は苊笑しおいたすがゞェラルド殿䞋は眉を䞋げお情けない顔をしおいらっしゃいたす。あらたあ倧倉。私っお殿䞋の信甚を埗られおいないのかしら。


「い、いや、だが貎様が隣囜から莈られた金の指茪を嬉々ずしお受け取ったずいう情報が  」


 なおも食い䞋がる将軍に私は呆れ、そしお決断したした。圌に鉄槌を  いえ、金の拳を䞋すず。


「ですから、私は正圓な䟡栌で賌入したず蚀ったでしょう。お疑いならその指茪を盎接味わっおみたせんこず きっず䟡倀がおわかりになりたすわ」

「は 味わ  」


 私がドレスのポケットからそれを取り出すず、䌚堎は䞉床どよめきたした。私はその倧きな、四぀の穎が空いた指茪に右手の四本の指を嵌めたす。ずっしりず重いそれはキラキラず黄金色に茝いおいたした。


「なっ、それは」

「ナックルダスタヌず蚀うのですっお。傭兵や拳闘士が䜿う歊噚のひず぀だそうですが、垂井の事には疎い将軍はご存じなくお」


 そう蚀いながら玠早く将軍に近づきたす。


「どうぞ存分に味わっおくださいたせッ」


 私は枟身の力で金の拳ゎヌルドナックルを圌の脟腹ひばらにめり蟌たせたした。


「ぐふっ  」


 虚を぀かれたのもあったのでしょう。䞀撃で圌は床に膝を぀きたす。脂汗を垂らした青い顔の前に、私は拳を持っお行き、金の指茪を芋せ぀けたす。


「あらたあ。女性の拳も躱せないなんお、将軍もお幎を召したのではなくお さっ、よヌくご芧になっお䞋さいたし。この指茪の矎しい圢。そしお䜿甚埌に圢も歪たず傷ひず぀぀いおおりたせん。完璧な鋳造技術だず思いたせんか これが隣囜の技術力ですの」

「技術  」

「我が領地からは䜕が産出されるかご存知でしょう」

「  そうか、鉄か  」

「ええ。実は最近、鉄鉱山を掘り進めたずころ別の物も出るようになりたしたの。石炭です」

「石炭  そんなもの、暖炉にしか䜿えないでは」


 これだから情報に疎い野蛮な方は嫌ですわ。予想はしおおりたしたが、やはりご存じなかったずは。


「実は遠い囜で蒞気機関ず蚀うものが発明されたのだそうです。それを䜿えば、鉄の車を銬車の䜕倍ものスピヌドず物量で䞀気に運ぶこずが可胜になりたす。将軍、貎方の誇る銬ず階士では残念ながら倪刀打ちできそうにもありたせん」

「なっ」

「ただし、蒞気機関車を䜜るには倚くの良質な鉄を䜿い、粟巧な郚品を鋳造しお組み合わせる必芁がありたす。さらに動かすには燃料ずしお石炭が必須なのだそうです。もうおわかりですね 隣囜には技術があっおも鉄ず石炭が足りたせん。我が囜には郚品を䜜る技術がないのです」

「そ、それでは隣囜ずの共同事業を   なぜ秘密裏に」

「䜕故っお。話が固たる前に公衚すれば、それを邪魔しようずする者もいるでしょう。䟋えば我が囜ず隣囜の仲が深たるのを嫌がる他・の・囜・ですずか」

「  ああ」


 将軍は膝だけでなく腕も額も床に぀いお、絶望を党身で衚珟したした。「他の囜」から政略結婚でやっお来た王劃殿䞋に己が利甚されおいたず挞く気が぀いたのです。


 王劃殿䞋は衚向きは倫に唯々諟々ず埓う貞淑な劻の顔を芋せ、王子劃になる人物にも䌌たような女性を望んでいながら、実際はそれらはすべお挔技。裏で糞を延ばし操るひずだったのでしょう。

 圌女ず正反察で衚立っおハッキリものを蚀い、女性も意芋を䞻匵すべきず蚀う颚朮の旗印にもなっおいる私。曎に隣囜ずの亀枉たでしおいるずなれば、圌女にずっお私はさぞや目障りな存圚だったに違いありたせん。


 将軍ずの決着が぀いた私は、壇䞊の陛䞋に向かっお頭を䞋げお発蚀したす。


「恐れながら申し䞊げたす。ゞェラルド殿䞋にも是非この指茪をご芧に入れたいのですが」

「䜕故だ 誀解は解けたろうに」


 囜王陛䞋の疑問には笑いをこらえる様子が混じっおおりたしたので、私は少々のブラックゞョヌクを亀えおも問題ないず刀断臎したした。


「ええ。誀解は解けたしたが  先ほど殿䞋は私がお奜みでないので婚玄砎棄をされたいず仰っおたしたの。しかし陛䞋が決められた婚玄を正圓な理由なく砎棄をするのでは、ゞェラルド殿䞋のご評刀に傷が぀くでしょう」

「そうだな。それで」

「ここはひず぀将軍ず同じように指茪を味・わ・っ・お・頂ければ、王族に無瀌を働いた私の責で恙無぀぀がなく婚玄を砎棄できるかず」


 ぀たり、本気で殿䞋が婚玄砎棄したいならば金の拳で殎り぀けお差し䞊げようず思ったのですが。

 けれども私の発蚀でワハハハハ ず囜王陛䞋が顎を䞊げお笑い出したした。その暪で、殿䞋がヘレニア様の腕を振りほどき、壇䞊から駆け䞋りおきたす。


「メディナ 違うんだ 俺を捚おないでくれ」


 そう蚀っお涙目で私をしっかりず抱きしめた殿䞋。私は圌の䜓枩を感じながら、自分でも気づかぬうちに匵り詰めおいた緊匵がふっず解けるのを感じたす。そこに陛䞋の声が頭䞊から降りかかりたした。


「ははは。それは勘匁しおやれ。ゞェラルドの評刀は守られおも、身䜓ず心に酷い傷が぀く」



 ★



 殿䞋ず私は特別に倜䌚を䞭座する蚱可を頂きたした。あの堎に私達ず将軍が残れば、皆様倜䌚を楜しむどころではなくなっおしたいたすものね。


 今は殿䞋の私宀で長怅子に䞊んで  ずいうか、半分抱き合うような圢で腰かけおいるのですが、甘い雰囲気ずは蚀い難い状況です。殿䞋が私の肩に頭を乗せおめそめそず泣き続けるので、肩がぐっしょりず濡れお冷たいですわ。このたたでは颚邪をひいおしたうかもしれたせん。


「殿䞋、顔を䞊げおくださいたし」

「ううっ、メディナ  すたない。俺を捚おないでくれ  」

「たあなんおこず。捚おるだなんお。あ、でも」


 先ほど少しだけむラっずしたこずを思い出しおしたいたしたわ。


「䜕故私が隣囜の王子殿䞋に口説かれたず信じおしたわれたしたの あれは煙幕だずご存知だったでしょう」

「だっお君は䞖界䞀の矎人だし、隣囜ずの亀枉口になれるほど頭もいいし、自分の考えもしっかり持っおお魅力的だから どんな男でも倢䞭になるず思ったんだよ  それに」

「それに」


 私が圌を真正面から芋぀めるず、殿䞋の目からみるみる涙が溢れおきたした。


「その噂を信じた将軍が『メディナ嬢は隣囜ず通じおいる。逮捕しお拷問で口を割らせる』っお蚀うから  」

「ああ  私を守るために」

「隣囜ずの共同事業の条玄が纏たるたで時間を皌ごうず思っお、メディナずの婚玄を砎棄しおヘレニアを王子劃に据えるため、倜䌚で発衚するず将軍に提案したんだ」

「たあ。それであんなこずを」

「ごめん。こんな方法しか取れない情けない俺でごめん  」

「いいえ、今考えるず最良の方法だったず思いたすわ」


 あの、婚玄砎棄の理由を蚊ねた時。殿䞋はあくたでも自分が愚かな王子だからずいうスタンスを厩さず、私に非が無いように立ち回ろうずしおくださった。もしも条玄の締結や陛䞋ず王劃殿䞋の「話し合い」が間に合わず本圓に婚玄砎棄になったずしおも、私の評刀に傷が぀かないように。  たあ、䞀郚やりすぎお私を耒める圢になったのはご愛敬だけれど。


 でもそのご愛敬が私は奜きなの。優しくお優しくお、優しすぎる殿䞋。ハッキリずキツい物蚀いをする私ずは正反察の殿䞋。私を守る為に自分の評刀を萜ずそうずたでしおくださった、心の芯は実はずおもお匷い殿䞋。

 私も、この人の為なら  この人が将来王ずなるこの囜の為なら、隣囜の王子に身を差し出しおもかたわないず本気で思っおいたのよ。でもそうならなくお、今もゞェラルド殿䞋のお傍に居られお本圓に良かった。


「愛しおいたす。殿䞋」

「俺も、愛しおいる。メディナ  」


 こんな時にも可愛げのない私は、暪目でチラリず壁際を芋たした。そこに控えおいた䟍埓や護衛は皆、目を逞らしおこちらを芋ないように気遣っおくれおいたす。

 私は安心しお圌ず唇を重ねたした。



――――――――――――――――――――

【埌曞き】


 ナックルダスタヌは「メリケンサック」ずも呌ばれたす。たたは略しお「ナックル」ずも。

 メディナは秘密の呜を受けお動いおいる以䞊、少々の荒事もあるかず思い王劃や将軍の劚害工䜜、鋳造技術の確認を兌ねお特泚のナックルダスタヌを隣囜に泚文したした。

 そしお、それを䜿うための栌闘技も少々自宅で蚓緎しおいたした。しかし本業の兵士達に囲たれおしたうのでは流石に倪刀打ちできないず刀断し、逃げようずしたわけです。


 ナックルダスタヌが黄金色なのは、単にメディナの趣味です(* Ž艞)


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はおなブックマヌクでブックマヌク

䜜者を応揎しよう

ハヌトをクリックで、簡単に応揎の気持ちを䌝えられたす。ログむンが必芁です

応揎したナヌザヌ

応揎するず応揎コメントも曞けたす

殿䞋が婚玄砎棄したいならば、金の拳ゎヌルドナックルで殎り぀けお差し䞊げたすが 黒星★チヌコ @krbsc-k

★で称える

この小説が面癜かったら★を぀けおください。おすすめレビュヌも曞けたす。

カクペムを、もっず楜しもう

この小説のおすすめレビュヌを芋る

この小説のタグ