第11話 変わった?進化したと謂うてくれや

ギチギチ、ギチギチ。


青の唾液が地面に垂れ、シュウーと煙がのぼる。

青ざめ、握りしめたまま硬直した拳。手首から先は存在しない。確か、獣人系の女の子魔物だったか。


ギチギチ、ギチギチ。


長い舌でそっと撫でると、傷跡などから生前の姿が思い起こされる。指紋や血の量で味の違いがわかるようになってきて、嬉しいんだか悲しいんだか。


ギチギチ、ギチギチ。


手のひらを力づくで広げてやった。酸の肉体が触れる面積が多くなって消化が容易くなる。


にしても、"蜘蛛"をこの前全員狩ってから、人型の精度がさらに良くなった♧元ネタが元ネタなのでワシめっちゃ美少女やし。血の池の中で死体を喰む姿は我ながら美しくも妖しい。




どうも、"水魔物"サーシャです。先日クソ蜘蛛たちを殲滅・吸収しました。自分より格上の蜘蛛を吸収するの……とっても美味しかったのん……。

加えて、二部屋分の屍体が供給されるようになりました。毎日屍体食べほうだい吸収しほうだい。バスケットボールくらいの体が、バランスボールくらいにまで成長しました。


結果……何か体が熱くなり始め、困惑してます。というか……痛い痛い痛い!体の節々が痛いです!前世の成長痛を思い出します。良いものだとはなんとなく分かっているから我慢するけど、それはそれとして痛いのは嫌みたいな。


そんな感じで暫く耐えていた結果、ふと体中に勃起する感覚がありました。血流が股間に集まっていくあの感じ。暫く待っていると、爪や牙みたいなのが生えてきたのん。


🟦🟥🟦🟥🟦🟥🟦🟥🟦🟥🟦🟥🟦🟥

name サーシャ

spices スライムビースト(ランク:F)


筋力 F

敏捷 E(RANK UP!!!)

耐久 D

魔力 F


スキル 憐憫の獣  残虐遊戯+1 アストロン(new)

🟦🟥🟦🟥🟦🟥🟦🟥🟦🟥🟦🟥🟦🟥


『アストロン』は体の一部を硬質化させられるみたいのんな。例えば爪や牙みたいに。……元々私はスライム体に内蔵や毛がくっついている+今回で更にナマモノ成分が増えた結果、よりグロデスクさが増しつつあるのん。

まあ硬い骨とかを砕いてから効率的に消化できるようになったからバランスは取れてるんだけどね。


ファッション面でも有用。頭にツノを生やしてみれば、まるで鬼の姫が死骸を喰らっているようだ。

ムフフ...写真があれば残したいのん。


閑話休題。このアストロンを使って試してみたいことがある。


屠殺部屋には重い鉄製の南京錠が掛かっている。この南京錠のせいで、私は一度殺されて以来部屋から出られなかったのだ。


体の先端を鍵穴に入れ、硬質化。

フムフム…………あっ この鍵穴の仕様は......ジャッジアイズ(PS版現在セール中)でやったとこだ。


「子供に勉強勉強って言いたくないですよね。カッチンカッチンカッチン〜〜〜♫……ん?」


半分くらい勘で鍵穴を弄っていると、カチンと鍵の開く音がした。あれ、マジで空いちゃった?

ドアノブを回してみると、ドアが開く。随分久しぶりの……「外の世界」がそこにはあった。


逃げられるのか?この呪われた部屋から。


いやいや慎重になれ。


まず、細い触手を、天井の配線づたいに伸ばして偵察。

壁や床は白と青のタイルで構成されていて、病的なまでに清潔な印象。充満する消毒の匂い。不安定で白い明かりが揺れていて、まるで末期患者の病棟のようだ。

血と脂に塗れた屠殺室とは、真反対のようで……とても近い印象がある。ここは……私のような野生の捕食者をビビらせるような、管理された人工の死で満ちている。

あのサド看守め、一つの部屋に邪魔なものを纏めて押し込んでおくタイプだな。


自分で言うのも何だが私は死ぬほど汚い。不潔とかいうレベルではない。屠殺部屋から逃げ出せるのが知られれば……おそらくまた殺される。慎重にやろう。


▶︎▶︎▶︎日数経過▶︎▶︎▶︎


「おほっ❤️いん゛ッ、ィ゛ィ゛ィ゛ィ゛ッ!!?んヒッ♡ぶひッ♡ほぉぉぉぉッ♡♡あひぃッ♡おぉぉ♡ひぎィ♡♡ひぃ゛ーっ♡ひぃ゛ーっ♡ぐっ😻サド看守様の黒人チンポでいっちゃううううううの〜〜〜〜〜〜ん😻😻😻😻😻😻😻」

パンパンパン!!!



うわぁ。

ピッキングができるようになって以来、触手を部屋の外に伸ばして探査する日々が続いていた。食えば食うほど体積が増し、本体は部屋の隅にどっかり座ったまま探索できる距離も増える。元ネタのスライムこんなに体変形させてたっけ?


で、探索し続けて五日目くらいか。

冒頭の犯罪みたいに汚い喘ぎ声が扉の向こうから聞こえてきたのだ。立て付けの悪さを突いて、早速触手を忍ばせる。

中にで交尾してるのはサド看守と......あれは、人間の女か。触手はあんま視力高くないからハメ撮りビデオ見たいな画質でヤってる光景が脳に送られてくる。竿役が絶望的に汚いんよなあ。

バックレイプ中に失礼します......そんなに早くパンパンすると女の子絶対痛がりますよ.....。まあサド看守のチンポ見るからに小さいしバランスは取れてるか笑


あ、手に力入りすぎ。ていうか爪結構伸びてるし汚れてんな...。いつか殺す前にこれでイジったろ笑


すぐ横で『おかあさん』が真顔でセックス見てる。護衛かな?Aランク魔物になってきったね〜おっさんのケツ見せられんのどういう気持ちなんだろ。実家屠殺部屋住まいはこういう介護を押し付けられるかもしれないから嫌のんな。できるだけ早く出てやろう。

ん、今こっちをチラッと見た?気のせいか。


しかし、ここはサド看守の使う寝室なのか。色々情報が取れそうだし、しばらく観察させてもらうか。


▶︎時間経過▶︎


サド看守と人間女は一緒にマリカを始めた。ゲームが下手な人種は見ててイライラすんな。指示コメ飛ばしたくなる。

何より、看守が甲羅を当てられるたびに


「お〜っ、あっつい展開やぁ〜〜〜」


とバカの物覚えのように繰り返すのが気に触る。何それ、youtuberとかがやってたの?めちゃくちゃ寒いし女の子も苦笑してるからやめた方がいいよ、


▶︎時間経過▶︎


女はカネで雇われている関係のようだ。時間だから帰るという女を看守は引き止めようとしている。


「今日は君にプレゼントがあってさ......。」


そう言って看守は純白でフリフリのランジェリーを取り出した。

うわあ。もしかして善意でやってる?いや私も別に詳しくないけど、少なくともブサメンアウトじゃない?


他にもデリケート部位のケア用品などを渡すと、女は去っていった。


▶︎時間経過▶︎


その後も特に面白いものは見れなかった。

魔物虐殺して得た金でこんなくだんねーことしてるのかよ。くだんない奴って生き方からしてくだんねぇんだな....気持ちわりぃ......。



もう少し待って収穫ないなら一旦退散するか、というところだった。『おかあさん』が口をひらく。


「ところでマスター。コロシアムにEランクの水魔物を出す話どうなったの?出された子はまず生きて帰れないだろうけど。」

「んー?あの、アクアフェアリーいただろ。アレ出すわ...ティアラ。そこそこなカネが出るし。」

「あの子かぁ。戦闘訓練もさせてないし、間違いなく死ぬだろうけど。」

「いーよ。成長してもどうせお前の強化素材だ。惜しいけど」


ドッグン、と。久しぶりに、亡き心臓の鼓動を聴いた。

妹のことになるとまだ暖かいものが自分のうちに溢れてくる。




とりとめのない思考が流れる。

生きてることが確定したのは喜ばしい......じゃなくて。こいつら、ティアラを殺すつもりか。

どうすべきだ?今突入して、一か八かにかけてみるべきか?


私の逡巡を『おかあさん』が断ち切った。


「じゃあ、他の魔物が居ればティアラをコロシアムには出さないんだね?」

「......そうだな。アテがあるのか?」

「いや?」


『おかあさん』はそう言って、目を逸らすように...私の触手を、間違いなく見た。反射的に触手を引っ込める。バレてたのか。


......もしかして、彼女が言いたいのは。『お前がコロシアムに出ろ』ってこと?


そうすることに迷いはない。妹のために命を張れるなら、お姉ちゃんとして悔いはない。......しかし、明らかな問題点がある。


spices スライムビースト(ランク:F)👈トントン


私、Fランクだということだ。


MIssion 🗡️

生贄になるため、なんとかEランク魔物になろう!












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