第3話 解剖
赤い。血が滲みたわけでもないのに、視界が赤に染まっている。脳がチカチカといっている。体のフシブシが臓器が皮膚の神経がこぼれ落ちる脂肪が垂れる血液の温かさが刃の冷たさが痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い!!!!
「ぎっ!?ぎゃっ!?」
『解剖』される間、私は意識をまともにとどめている事ができなかった。
自分の体なのに、何処を切り裂かれ、何を奪われているのか。唯一分かったのは、温かいものが挿入される感覚だった。私の初めて、誰にあげるか考えたこともなかったのに。
「く"そ"看守………!」
「お、まだ喋れるんだ。心臓潰れたのに……すごいね。ご褒美に、その薄汚いプッシーにご機嫌なコックをぶち込んでやったぜ。」
何か温かいものが溢れ出した。看守はベルトをあげると、首に刃を突きつける。
「死にたくないかい?『おかあさん』に助けてーーって泣いてみなよ。それか、恨みの言葉でもいいよ」
「ころ、してやる……!」
「ああ、そっちなんだ。養分風情が生意気だねぇ。」
血もない。肉もない。生存の要素が全て奪われていた。
だから、最後の命を喉に委ねて叫ぶ。
「ティアラに手を出したら、絶対に、絶対に、絶対に殺してやる…………!」
せめて、あの子だけは。一緒に空を飛ぶと約束したあの子だけは。姉として、こんなやつらに手を絶対に出させない。絶対、絶対に………
アクアマリンがどこか動揺したように見えた。でも看守はお構いなしに。
「は?つまんな。」
ドシュ、と何処か他人行儀な音とともに、私の二度目の人生は終わった。
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