六人いる

ふさふさしっぽ

本文

~ゆうやけこやけでひがくれて~


 あ、五時だ。


~やまのおてらのかねがなる~


「夕焼け小焼け」のメロディーが、夕方五時の合図。

 そろそろ家に帰らなきゃ。


 だけど。


 一人多い気がする。

 公園で一緒に遊んでいたのは、

「なっちゃん」

「ふうとくん」

「ヨータくん」

「りなちゃん」

「みずほくん」

 それと、わたし。


 やっぱり一人多い。わたしたち、五人で公園で遊んでいたはずなのに、六人いる。

 だれ? だれなの? 友達のふりをしているのは。夕暮れどきにはおばけが迷いこむって、おばあちゃんが言ってた。きっとだれかが「おばけ」なんだ。


 だれ?


 六年生のなっちゃん?

 五年生のふうとくん?

 わたしと同じ、四年生のヨータくん? りなちゃん?

 りなちゃんの弟、三年生のみずほくん?


 あっ。


 ヨータくんの影がない。わたしとみんなの影は長くあるのに、ヨータくんだけない。


 おばけはヨータくんだ。


「みんな、だまされないで。ヨータくんは、おばけだよ」


 わたしはヨータくん以外の、みんなに叫んだ。


「何言ってんの、あやねちゃん。僕はおばけじゃないよ」


 ヨータくんが笑いながらこっちへ近づいてきた。


「おばけだよ。思い出した……ヨータくんなんて、わたし、知らない。いつのまにか、わたしたち五人の中にまぎれこんだんだ」


~かってうれしいはないちもんめ~


 え?


~まけてくやしいはないちもんめ~


 なんで「夕焼け小焼け」じゃなくて「花いちもんめ」が流れているの?

 しかもメロディーじゃなくて、歌が……


 あのこがほしい

 あのこじゃわからん

 このこがほしい

 このこじゃわからん


「どうして僕がおばけなの?」


「ヨータくん、か、影がないもん」


 そうだんしよう

 そうしよう


「影がないのは、あやねちゃんだよ」


 え?



 きーまった!



 わたしは地面を見た。


 うそ、わたしの影、ない。


 ヨータくんの足元を見る。さっきまでなかったのに、ちゃんと影がある……。


「おばけはお前だよ」


 ヨータくんはわたしの目の前でにたあ、と笑った。


 ちがう。わたしはおばけじゃない。ちがうったら。みんなに叫びたいのに、声が出ない。


「さ、なっちゃん、ふうとくん、りなちゃん、みずほくん、五人で帰ろう」


「そうね。五時だものね。帰ろう」


 なっちゃんが言った。


 まって。なっちゃん。みんな。


 わたしを、おいて行かないで……。




 きーまった!

 あやねちゃんがほしい……






 終わり。

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