人生転換

河城悠馬は現在気分がとても悪い状態で学校に登校した。


「はぁ、今日は地獄の1日になりそうだ」


今日は5時にセットしてあったラ●ダ技術部の計算しないと止まらない目覚ましで出た問題がまさかの東大数学で解くのに20分かかったし、それも昨日のことがあったから教室ではとんでもない目で見られんだろうな。


教室に入ると案の定全員が河城を注目していた。


「河城で合ってるか?」

「そ、そうですけど、ど、どうかしましたか?」

「お前、昨日宮本さんと話していたじゃん。一体なんの話をしていたんだよ。」


話・・・。

これって多分言ったら彼女を傷つけてしまうよな。

とりあえず、なんて呼べばいいかわからないし名前を聞かないと・・・。


「えっと、そ、その前に名前を・・・」

「ああ、ごめんごめん。俺の名前は神崎、神埼稔だ。よろしく!」

「よろしくです。まあ、話はうん。い、いろいろしてだんですよ。」

「www。噛んでるじゃん。なんかかわいいなw。」


かわいい・・・か。今まで言われたことないな。

とりあえず批判が来るわけでなくてよかった。

早く話を終わらせて数学を・・・


「お!ほら来たぜ。行かなくていいのかよ?」


最悪のタイミングだ。宮本がこのタイミングで来たせいで逃げ道がなくなってしまったじゃないか。

こうなったら、


「私はそういうはちょっと・・・。それよりもやりたいことがあるので失礼します!」

「お、おい~。なんだよ、行かないのかよ~。」


アブナイアブナイ、あと少しで会話延長コースだったかもしれない。

ただ、珍しくスムーズに会話することができたな。

とりあえず、今度こそ数学をやるか!

今日は3次方程式の解の公式の出し方をやるか。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「・・・君、・・ま君、悠馬くん。」

「あ、すみません。なんですか?」

「集中しているところごめんね、私は古川美夢よろしくね。」

「よろしくです・・・。」

「それで、この場合の数がわからないんだけど・・・。」


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現在箱の中に白と黒のボールが5個ずつある。ボールを4回引くとき以下の条件に則ったとき得点が6になる確率を求めなさい。


条件

・白いボールを引いたときは1点加点する

・黒いボールを引いたときはサイコロを振り3の倍数が出たときは2点、そうでない場合は0点加点する

・使ったボールは箱の中に戻さない

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「これはまずボールが出る確率を求める。今回は2つパターンが有るね。1つ目は白ボールの₅C₂、黒ボールが₅C₂でサイコロが成功したときだね。並べ方は₄P₄となるよ。

これを式にすると(10・10・4!)/(10・9・8・7)となるからこれにサイコロの確率をかければいいよ。

2つ目は黒ボールが₅C₄で1個が外れの時を考えてさっきのと足せば終わりだよ」

「ありがとう!」


確かに人と関わることも悪くもないかもしれない。

今まではあんまり話すことができなかったのに。


数学の時間が終わると宮本が俺のことを呼んでいた。


「なんですか?」

「きちんと話せているじゃないか。感心感心!」

「それだけですか?だったらもう戻るんですけど。」

「まあまあそんなに冷たくなるなって、今まで口調とか悪かったのは謝るから。」

「別にそれはどうでもいいですけど・・・。」

「それだったらよかった!その、話は別にあって・・・。」


急に宮本の顔が林檎のように赤く染まった。


「その、もし私と付き合って・・・て言ったら付き合ってくれる?」


え?付き合う?聞き間違え?こんな陰キャな僕と付き合いたい?

いや、デートじゃなくて用事だ!そう用事だ!


次第に河城の顔も赤く染まって来た。


「えっと、その、付き合うって用事とか・・・だよ、ね?」

「ちが、うよ。その、恋人、として、付き合えない?」


もう心臓が破裂しそうだ。

人生始めての経験でどうしたらいいかわからない。

どうとれば・・・。


「い、いいよ。」

「ほんと!?、よ、よろしくね!」


言ってしまった・・・。

これが人生で悪い方に行かないといいが・・・。



その後2人のカップル成立は校内中に広まり、様々な人が河城に話かけるようになった。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

2年後の冬・・・


今日は気温がとても低く、都心で雪が降っていた。

そんな中大学の合否を見に行くために2人でわざわざ張り出しを見に来たのだ。


「1008、、、1008、、、あった。やっぱり合格か。」


あの頃から約2年、いろいろあったなぁ。

発表のリーダーをやらされたり、いろいろな会話のグループに引っ張られたり。

大変だったけどある意味いい思い出だったなぁ。


「河城どうだった?」

「もちろん合格だったよ」

「さすが天才。すごいじゃん!」

「宮本も受かったか?」

「どっちだと思う?」

「合格?」

「正解」


同時に柔らかくてあったかいものをほっぺにもらった。


「お互いに東大に合格できたのと、話し上手になったことを祝って特別だからね!」


宮本の顔は真っ赤に染まっており口元はマフラーの中に包んでしまった。

宮本に出会えて本当に良かった。

再びそう思った。


「本当にありがとな」

「ん?なんか言った?」

「いや、なんでもないよ」


今日の雪は今までの中である意味一番思い出に残る雪にかもしれないな。

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とある自称コミュ障が救われた話 安野 夢 @blackman0509

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