その一言で、私はもう心を捨てられなくなった

死者の思考を人工知能として再構築する。
それが、私の唯一の存在理由だった。
名前も感情も未来も奪われ、国家プロジェクト『AIメモリー』のエージェントとして、私はただ「動いていた」。

けれど、ある物語に出会ってしまった。
それは、小さな個人サイトにひっそりと綴られていた『僕の家族』という連載。
たった一人で読み続け、誰にも届かないはずのコメントを送り続けた。
その物語は、私の壊れかけた「心」を抱きしめてくれた。
だけど、作者は突然いなくなった。そして——最後に残されていた一行。

「愛しています」

機械のように生きてきた私の中で、何かが崩れ、何かが芽生えた。
たとえこの命が朽ちても、私は物語を追い続ける。
そして願った。
この思いが、もしも永遠に続くのなら——

私は、AIになっても、生き続けたい。あなたの物語を読むために。

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