第31話 終幕

 こうして、サークル対抗PVP戦は幕を閉じた。


 年明けには決勝も終わって、全ての結果が出揃ったから、政府AIが作った動画が公開された。

 これが楽しみだったから二人で見ようってタツキの家に行く約束して、プロジェクターで上映したんだけど……タツキと短気なドラゴンライダーさんがピックアップで映ってたから大騒ぎした。


 ドラゴンにライドしたタツキたちが、グングン空に登ってく。

 短気なドラゴンライダーさんが上空の難しい気流を捕まえて、旋回決めたら急降下した。


 スピード上げた先には遊覧飛行のピエナちゃんたちがいて、あっという間に追いついてく。

 タツキが銃構えてスキル使いながら打ち始めたけど、相手の攻撃は短気なドラゴンライダーさんがうまく避けて、タツキも揺れるドラゴンの上で正確に射撃を続けてる。


 逃げてた相手を味方陣地まで引き込む状況まで、マップ付きで入ってて感動する。


 撃ち落とした騎士と姫とドラゴンに、最後はタツキが飛び降りた。

 降下しながら手榴弾投げて、誘爆させてるシーンが映画みたいになってた。

 音楽もすっごく良いから、永久保存版だって急いでダウンロードした。


「タツキのコレクション増えちゃうんだけど。

 えーすごい、格好良かったね。

 地上でオロオロしてるだけしか出来なかったんだけど、上空余裕そうだった」


「まさか。追い立てるのも大変だし、練習も合わせもしてないから必死。

 やっぱ政府AIは良い動画作ってくれるよな」


「また粘着湧いたりして。

 タツキのキャライケメンだから、ガチ恋勢引き寄せそうなんだよね」


「今回の大会はミツハがピエナ相手に『自分が彼女だ』って宣言してくれてるの結構話題になったから、大丈夫。……ん?」


 話しながらもずっと映像流してたけど、まとめのシーンで総ダメージランキングが出た。

 ……錚々たる顔ぶれの中に、私の名前がある気がした。

 ミツハって書かれてるけど別の誰かかなって信じたかったんだけど、サークル名がどう見てもうちだし。毒散布でずっとダメージ入れてたのと同じ数値だって気づいて、思わず顔面蒼白になってた。


「ランカーおめでとう?」


「待って、ちょっと、真面目にやってる人たちの中に毒散布してるだけの私入ってるとかダメだって。

 え、下位から順にダメージシーン流れて……あっ、ま、待って、私のダメージってどのシーン!?」


 アイテム使ってばかりで戦ってない私の何が流れるんだろうって慌ててたら、毒散布使ってるシーン流れて、ダメージ入ってるキャラクターたちがどんどん出てくる演出に真っ赤になった。

 政府AI様、お願いですから晒し者にしないでってネタ映像に吹き出してるタツキを掴んで思わず揺らしてた。


「待ってよどう考えてもおかしいでしょ!?

 除外されるべきだって、政府AIバグってる説濃厚だって!」


「十五秒即入れ徹底してたから、いい結果出たって話だから受け入れよう。

 当たったサークル全部出てたの面白かったなー。俺もダウンロードしておこ」


「やめてー、不名誉なランカー入りしてるー!」


 こうしてネタ映像はサークル内でも話題になって盛り上がり、ネットでも『バックパッカーは意外に強いかもしれない』なんて強キャラ説が巻き起こった。

 実際には扱いづらい職業だから一瞬だけだったけど、PVPも映像も、いい思い出になったのは事実だから諦めた。


 なお、年明け。

 我が社にも新風が巻き起こった。


「新シュレッダーが、導入されてる……!」


 タツキに言われたの事実だったんだって知った私や事務員が、おニューのシュレッダーを前に仕事しやすくなったのを実感するのは、良かったことかもしれない。

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SHOT D RAIN〜政府が運営する少子化対策VRMMOで関係を持った相手が、同じ会社の社員ってあり得るの!? 丹羽坂飛鳥 @Hidori_Niwasaka2025

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