第48話  土御門家への旅立ちと出会い

 険しい山道を越え、清冽な川が流れる道を進み、若狭の地に到着した宗則。旅の途中で、足利義昭からの推薦状を思い出しながら、若狭の土御門家へ向かう決意を新たにする。


 都の一角、薄暗い部屋の中で足利義昭と向き合う宗則。義昭は厳粛な表情で宗則に語りかけた。


「宗則、君の今後の成長が、この国の未来に繋がることを期待している。これを持って、土御門家に向かうのだ」


 宗則は深く一礼し、


「義昭様、ありがとうございます。必ずや陰陽道の真髄を学び、この国の発展に役立てます」


 義昭は優しく微笑みながら、


「しっかり修行に励むのだ。期待しているぞ、宗則」


 宗則は義昭の言葉を胸に刻みながら、長い道のりを進んでいく。宗則は


「この地で学びを深め、さらに成長するのだ」


と自身に言い聞かせ、神秘的な雰囲気が漂う土御門家の門前に立つ。


 宗則は推薦状を手に土御門家の扉を叩く。


 扉がゆっくりと開き、中年期の厳格な表情を持つ土御門 有脩(ありなが)が姿を現す。


「ようこそ、宗則殿。この地に来た理由は義昭公から聞いております。推薦状は確かに受け取りました」


 宗則は深く一礼し、


「よろしくお願いします。陰陽道の真髄を学びたいと存じます」


 有脩は微笑みながら、


「まずは庭園を案内いたします。風水について学び始めるための最初の一歩です」


 広大な屋敷と美しい庭園を案内される宗則。園内に入った際、有脩は風水に基づいた配置について説明を始める。


「この庭園も風水に基づいて造られています。これが土地の力を調和させる鍵なのです。君の修行もまず、この基礎から始めることになるでしょう」


 宗則は目を輝かせ、


「風水の知識をどのように学び、領地の発展に応用できるのか、その知識を学びたいです」


 有脩は頷き、


「それでは、まずは私の父であり当主である土御門有春にお会いしましょう」


 庭園の奥に進むと、年老いた土御門 有春(ありはる)が座って待っていた。


 有春が宗則をじっと見つめ、


「宗則殿、義昭公の推薦状を持って参られたことは大変名誉なことです。ここでの学びが、君の成長に繋がることを願っています」


 宗則は深く一礼し、


「有春様、学びを深める覚悟はできています。どうか教えを授かりたいです」


 有春は優しく微笑んで、


「まずは陰陽五行説の基礎を学び、それから実践に移りましょう。有脩、久脩、宗則殿をよろしく頼みます」


 少年の久脩ひさながも宗則を尊敬の眼差しで見つめ、


「宗則殿、どうぞこちらへ。私は父と共に修行のお手伝いをさせていただきます」


 有脩と久脩に案内されて書斎にたどり着いた宗則。古びた巻物が並ぶ棚が見える。そこで宗則は床に座り、有脩の指導のもとに陰陽五行の基礎を学ぶ。


「陰陽五行とは、木、火、土、金、水の五つの元素が相互に影響を及ぼす理論です。五行それぞれの力を身につけることで、土地の繁栄と調和を図ることができます」


宗則は深く頷き、心の中で決意を固める。


「これが陰陽五行の基本ですね。修行でしっかりと習得します」


その背後で、久脩は真剣なまなざしで宗則の学びを見守りながら、有脩に資料を手渡して補助することで学びをサポートしていた。


続く

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洛陽の華、戦塵に舞う~陰陽師、乱世を導く~ エピファネス @epiphanes

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