2024 M-1グランプリを評してみた!
はなぶさ利洋
2024年 M-1グランプリ感想および総評
以前からこのような構想があり、毎年本戦本放送のたび個人的に各組のネタの完成度について感想と個人的な点数付けをして、粛々と楽しんでいた。
今年から普段小説発表の場に用いているこのカクヨムにて、それらを大々的に公表して数多いるであろうお笑い好きの目に見て触れてもらおうと思いこのような形で論評として発表するに至った。ちなみに、大会が終わってしばらく経過してからの発表になった理由について、シンプルに大会開催日前後で質の悪い風邪に見舞われて何もまともに手が付けられなかったからである。
下記から、当評論の見方について簡単に説明をさせていただく。
(例)
出演順【エントリーNo.1111 ”コンビ名”(ここにキャッチコピー)】〇〇点
(ボケ:〇〇 ツッコミ:△△)
・ここらへんにネタについての各論評をまとめてお届け。また、点数についても追々個人的な順位として纏めておく。
それでは、2024 M-1グランプリ評論スタート。
☆ファーストラウンド
①【エントリーNo.2684 ”令和ロマン”(Champion)】93点
(ボケ:高比良くるま ツッコミ:松井ケムリ)
・去年と同様、のっけからまたもやなトップバッターで笑神籤で選ばれた時の衝撃と歓声が凄まじかった。肝心のネタは苗字+学校のクラス替えという内容のしゃべくり漫才。繰り広げられる話術が実に軽快かつ見てる側でもイメージしやすくわかりやすい。前年Championの腕は間違いなく、流石の安定感と完成度はお見事の一言。
②【エントリーNo.502 ”ヤーレンズ”(逆襲のノンストップ・ウザ)】90点
(ボケ:楢原真樹 ツッコミ:出井準之介)
・出順的に、去年のM-1グランプリ優勝・準優勝コンビが立て続けでの登場。今回はおにぎり屋さんを題材にした得意のシチュエーション漫才。歌ネタが所々多く、とっつきやすかったが決め手が薄かった印象。去年のラーメン屋ネタのような「麺ジャミン・バトン」みたいなキラーワードも出てこず、小細工ナシかつシュールネタに振り切ってくれればもっと面白いと思えた。
③【エントリーNo.19 ”真空ジェシカ”(アンコントロールW)】92点
(ボケ:川北茂澄 ツッコミ:ガク)
・商店街のロケというシチュエーションネタの皮を被った、その実ボケの川北によって繰り広げられる一発ギャグ劇場。両人もすっかり近年M-1グランプリ決勝常連となりつつあり毎年拝見させてもらっているが、例年、肝である川北のボケがガクのツッコミの勢いに呑まれがちになっているように思えてならない。ただ、今年に限って言えば川北からのべつ幕無し繰り出されるギャガー・パワーでガクのツッコミに負けず劣らず最後までしのぎ切ることができた印象。今までの真空ジェシカのネタの中でも一番面白くずっと笑わせてくれたように感じた。
④【エントリーNo.67 ”マユリカ”(敗者復活 なのでキャッチコピーなし)】88点
(ボケ:阪本 ツッコミ:中谷)
・今年の敗者復活枠に見事選ばれた幸運コンビ。結果として、二年連続決勝進出を決めることができたふたり。同窓会ネタで一つ一つネタの内容が強烈な印象だったが、多少ネタが走りがちになっているのが気になる。ロクに打ち合わせもままならなかった背景もあるのだが、もう少し漫才全体のテンポを大事にやり進めてくれれば本番で化けたかもしれない。
⑤【エントリーNo.2585 ”ダイタク”(双子無双)】89点
(ボケ:大 ツッコミ:拓)
・ここ何年もの間、M-1グランプリでは準決勝常連にして敗者復活の門番を半ば担っていたような感じのする双子漫才コンビにして本戦ラストイヤー1組目。特有の双子あるある+ヒーローインタビューネタでボケ・ツッコミ交互入れ替わりのフォーマットネタ。ネタはとても練りこまれてはいるが所々噛んでしまってテンポが滞ってしまった。そのせいで滞った所が気になりネタにいまいち没入しづらかった。
⑥【エントリーNo.6349 ”ジョックロック”(爆音ダークホース)】85点
(ボケ:ゆうじろー ツッコミ:福本ユウショウ)
・結成3年目にして、決勝初進出。自分たちのネタにかなりの自信があるとうかがわせるコンビ揃って黒服の恰好。ネタ自体は普通の医療モノのシチュエーション漫才。ボケの一つ一つが弱く、ツッコミの勢いありきという構成なのが一度見ただけで分かってしまうのが少し残念でならない。
⑦【エントリーNo.6307 ”バッテリィズ”(浪速のド直球)】94点
(ボケ:エース ツッコミ:寺家)
・少年野球時代のバッテリーから続く漫才コンビ。「偉人の名言」を題材にしたしゃべくり漫才。ボケのエースから強く漂う「ホンマにいそーなアホ」感のするキャラクターが最高。錦鯉の大ボケ・長谷川さんを彷彿とさせるおバカっぷりで、勢い熱量発声すべてにおいて文句ナシ。
⑧【エントリーNo.4224 ”ママタルト”(デカすぎるにもほどがある!)】87点
(ボケ:大鶴肥満 ツッコミ:檜原洋平)
・歴代出場者中最重量コンビ。ボケの肥満から繰り出される190kg超とは思えない敏捷性・俊敏さの動きネタは見る者思わず見る者全てを釘づけにしてしまう魅力がある。とはいえ、肝腎要のおデブネタがボケとして昇華しきれず結果として宝の持ち腐れ状態で終わってしまったように思える。
⑨【エントリーNo.2342 ”エバース”(雑談ファンタジスタ)】91点
(ボケ:佐々木隆史 ツッコミ:町田和樹)
・待ち合わせのシチュエーションでありながらのしゃべくり漫才。ボケもツッコミも声の通りがよく終始とても聞き通りやすかった。ネタの構成も問題なくあとは出順さえ早ければもう1ラウンドあったのかも。聞き手側の想像力にある程度委ねられるネタだが、実際そこまで頭を使わず笑いにつなげられるためあまりストレスにもならずわかりやすい。
⑩【エントリーNo.496 ”トム・ブラウン”(ラスト無秩序)】92点
(ボケ:みちお ツッコミ:布川ひろき)
・今年本戦最終組にしてラストイヤー2組目。いつもどおり二人によって繰り広げられるシュール&バイオレンスなトムブラ劇場。終盤目前にして息切れだったが、実際、それも含めて面白かった。最後の最後の一秒に至るまで、見る者の首根っこを引っ掴んで離そうとしないその独特な漫才のスタイルは圧倒的で唯一無二。二本目の「剛力」ネタが見れなんだのが今大会最大の心残りとなった。
☆M-1グランプリ ファーストラウンド 個人的順位表
第一位 ⑦バッテリィズ 94点
第二位 ①令和ロマン 93点
第三位タイ ③真空ジェシカ 92点
⑩トム・ブラウン
五位 ⑨エバース 91点
六位 ②ヤーレンズ 90点
七位 ⑤ダイタク 89点
八位 ④マユリカ 88点
九位 ⑧ママタルト 87点
十位 ⑥ジョックロック 85点
☆ファイナルラウンド☆
●一組目・真空ジェシカ 個人的順位 第三位
長渕剛のライブに行ったはずがなぜかお隣の会場にて開催されるアンジェラ・アキのライブに参加してしまったというシチュエーション漫才。いつも通りの、面白い真空ジェシカらしい漫才といえばそうなのだが、普段よりもボケ数が少ない漫才であったのがやや気になったところ。
○二組目・令和ロマン 個人的順位 第一位
戦国時代のタイムスリップネタで舞台を大きく活用していた。38マイクから離れていたのも気にならない程ボケ数と内容の濃密さで、最後の最後に至るまで見てる側を退屈させない漫才であった。在りし日のマヂカルラブリーを思い起こさせた、そんな漫才でもあった。
●3組目・バッテリィズ 個人的順位 第二位
エースのおバカ漫才。世界遺産かつお墓の天丼ネタで安定した笑いだった。もっともっとエースの可能性を見てみたいという気にもなり、そういう意味でも言えば最後の最後で一番賞レース向きではなかった漫才ネタで挑んでしまったようにも感じてならない。
・最後に 今大会を振り返って。
史上初となる同一コンビによる大会2連覇という輝かしい成績で幕を下ろした2024年M-1グランプリ。令和ロマンこそ、まさしく現代の天才漫才コンビであると評せざるをえないだろう。競馬好きな自分としては、そんな若き天才の姿がちょうどかのGⅠ6勝馬・天才少年「イクイノックス」の影と重なる。今大会最終決戦にて同じみな顔ぶれが集い、「波乱」は望み薄であると誰の目からみても思ったに違いない。しかしながら、その総合的な熱量は過去遡ってみても段違いなものであったと言えよう。もちろん、良い意味でである。ダイタク・エバース・ママタルトなどそれまで準決勝にて燻っていた敗者復活組から有望株が満を持しての決勝進出を決めたことで、従来のお笑いひいては漫才好きの目から見てもこれ以上ないくらいのハイレベルな死闘に満足という他無いだろう。結果として今大会一番のダークホースだったバッテリィズが全国ネットで掘り出された事こそ、第20回の節目を迎える2024年M-1グランプリにおいて最大の収穫要素となったのではなかろうか。
最後に、M-1グランプリ設営に携わったすべてのスタッフ、形作った芸人たちおよび漫才を愛するすべての人たちにこの言葉を送り、この評を締めさせていただく。
いつまでも、笑いこそが人々の希望の最終着地点でありますように……。
2024 M-1グランプリを評してみた! はなぶさ利洋 @hanabusa0202
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