第4話 野球 決勝1塁ベース(悪夢)

 あれは忘れもしない高校3年の春の北海道〇〇地区予選大会決勝戦。


 へたれプレイヤー三杉は序盤ノーアウト1塁2塁のチャンスで打席が回ってきました。中学までサッカーをやっていて、高校から始めた野球。なんと決勝戦でヒーローになるチャンスがやってきたのです!


 ここで問題です。

 この場面で監督のサインは何でしょう?


 ピンポン! そうです。当然送りバントです。しかしへたれプレイヤーはバントも下手くそでした。緊張してアンダースローの敵投手の球をバントしにいきます。


 ―― コン


(やったぜ、当てた!)


 喜んだのはわずか0.05秒くらいでした。

 打球は* 投手の正面へ!!


 *バントの場合、打球の勢いをうまく殺さないといけません。しかも投手正面に転がすのは最悪のコースです。 


(((やばいー!! ダブルプレーになる!)))


 我が校のベンチ、スタンド、そして私、全員の顔が引きつりました。

 足の遅い私は1塁へ必死に走りました。

 こういう場面はスローモーションになりますね。

 2塁は余裕でアウト、ボールは1塁に転送され……


 私は少しでも早く1塁ベースを触ろうとでベースに触りに行きました。はいバカです。そんなんで早く触るなんてできないし、素っ転びます。


 案の定、1塁も余裕でアウトになり、私はベースにつまづいて派手に転びました。ダブルプレー成立でその回は結局得点できませんでした。足も痛めて最悪です。


 後半、私はリベンジで鬼の形相で起死回生のレフトオーバーのタイムリーをぶちかまし、ヒーローになりかけましたが結局試合は1点差で敗北。優勝はできませんでした。


 この試合に負けたのは、バントをしくじった私のせいです。ごめんなさい。



 ―― 後日談 (小説風に)


 三杉は右足首が異常に脹れ、歩けないことに気がついた。重傷の捻挫だった。

 彼は迷った挙句、病院に行くことにした。


 タクシー代は勿体ないので1時間くらいかけて病院まで松葉づえで歩いて行った。

 病院にようやくついてドアの張り紙を見た。


 『本日休診』


 三杉はまた1時間かけて松葉づえをついて帰った。

 何をしてるんだ俺は……


 彼は大根よりも太く腫れた足首を見て思った。

(バントの練習もっとしなきゃな)



  ―― 了 ――

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つま先とへたれプレイヤー ☃️三杉令 @misugi2023

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