第3話 幼少期は言葉の茂みに隠れた少女。
私の幼少期を話すとしたら、無に近かったと思う。
話したい、話せたら嬉しい、そんな気持ちが浮ついていた。
だけど、言葉は浮遊するだけで足につくことなく誰かの耳に届くことはなかった。
私の言葉は私だけが知っている。
そんな状態が幼少期の私だった。
話せないから、話しても害はないから、そんな悪ふざけで私はいつもクラスメイトの会話の中で台風の目だった。
私が話すと周りは聞き耳を立てる。
それくらい私の声は周りの人に対して、貴重で不思議だったのかもしれない。
でも、喋れたら、話せるなら、みんなと同じスタートラインに立って声に出して言いたかった。
『私はここにいるんだよ』って。
だけど、今の私はそのスタートラインに立てたのは、主治医と話してる空間の中でやっと自分を見つけることができた。
やっと私は私でいられた。
ねえ、時石先生...私の声聞こえる?
筆談女子の闘病日記 ソノハナルーナ(お休み中) @eaglet
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