第16話 ユクトの奴隷は?
「そ、それは! 支配の腕輪!」
俺の左腕には銀色の腕輪がつけられており、女王陛下は驚愕の表情を浮かべていた。
「えっ? ユクトは誰かを奴隷にしているの? それともまさかこれから私を奴隷にしてあんなことやこんなことを⋯⋯」
突然エルミアが頬を赤くして悶え始めた。
勝手に俺をエロい妄想の登場人物にしないでほしい。
「ユクト⋯⋯まさかそれが真の目的だったのですか?」
「ユクトお兄様⋯⋯幻滅しました」
ほら、女王陛下とトアちゃんが冷たい視線でこっちを見ているぞ。
「いや、そんな訳ないでしょ」
「ふふ⋯⋯わかっていますよ」
「冗談です」
何だ。冗談か。一瞬本気にしてしまったぞ。こういう所で息の合ったお茶目なジョークはやめてほしい。
「そのようなことよりうちの娘が如何わしいことを妄想してしまい、申し訳ありません」
「お姉様はエメラルド王国にいた時も、たまに変なことを考えている時がありました」
「えっ? これって私が悪い流れ!」
その通りですとツッコミたい所だけど、話が逸れるのでやめておこう。
「それではその支配の腕輪はどういう意味でしょうか? 誰を奴隷にしているのですか?」
「奴隷? まさかユクトあなた!」
エルミアは何かに気づいたのか、ある人物に視線を送る。
その人物は首元にかかっていた服を下に下ろした。
するとそこには、先程までエルフ達がつけていた首輪と同じものが見えるのだった。
「し、信じられません⋯⋯」
「リアーナ⋯⋯まさかあなたがユクトの奴隷なの?」
「はい⋯⋯その通りです」
そう。俺の支配の腕輪で奴隷にしているのはリアだ。
「あなたはダイヤモンド王国の王女ですよね? 何故そのような立場の者が⋯⋯」
この場にいる誰もが驚愕の表情を浮かべていた。
王女が異世界人の奴隷なんて誰も想像出来ないだろう。
「この首輪は贖罪と⋯⋯ユクト様への信頼の証です」
この世界へ召喚された時、ユズが捕えられてしまいダイヤモンド王国の国王に魔王と戦うことを強要されてしまった。
突然平和な日本からこの異世界に飛ばされて、正直初めは召喚したリアの存在が許せなかった。それこそユズを助け出したら命を奪うことも考えていた。
だけど話を聞くとユズを捕えたのは国王の独断であり、リアは召喚をしたことも含めて誠心誠意謝罪してくれたのだ。
だけどそれで信じる程俺はバカじゃない。
言うことを聞かせるための演技かもしれないし、人生経験の浅い俺には真実を見極めることなんて出来なかった。
そのような中、リアが提案してきたのが隷属の首輪を着けることだった。
必ずユズを助け出し、裏切らない証として、自ら奴隷になることを望んだのだ。
さすがにここまでやられて、リアを信じない訳にはいかない。実際この一年間一緒に旅をして、リアは常に俺を優先して物事を考えてくれた。それはもう異常なまでに。そのため、今では隷属の首輪があろうとなかろうと俺はリアのことをこの世界で一番信頼している。
「今の私は左を向けと言われれば左を向き、足の裏を舐めろと言われれば足の裏を舐め、服を脱げと言われれば服を脱ぎます」
「ちょ、ちょっと何を言ってるんだ! そんな命令一度もしたことないよな!」
「ユクトあんた⋯⋯」
エルミアや女王陛下はまだしも、トアちゃんまでこちらに冷たい視線を向けてきた。
ここは絶対に誤解を解いておかないと、これからずっと変な目で見られてしまう。
「残念ですがまだそのような御命令は受けていませんが」
しかし俺が口を開く前に、リアが誤解を解いてくれた。
「私は初めからわかっていましたよ」
「も、もちろん私もわかっていたわ。ユクトはむっつりで変態だけどそこまでのことはしないって」
「トアもお兄様のことを信じてたよ」
女王陛下は目を逸らしているし、エルミアはどもっている。
絶対に俺のことを信じてなかったよな。
まさかリアの一言でここまで窮地に陥るとは思わなかったよ。
「これでリアは信頼することが出来るってわかってもらえましたか?」
「そう⋯⋯ですね」
女王陛下は肯定の言葉を口にしたが、応えるのに間があったことから百パーセント信頼した訳ではなさそうに見えた。
「それで話は戻りますが、ユクトは何を成そうと思っているのですが?」
「捕らわれた妹を助けることです。そのためには女王陛下に協力していただきたいことがあります」
「話を聞きましょう」
「それは――」
俺は自分の目的を遂げるために、あることを女王陛下にお願いするのであった。
異世界転移勇者は魔王に仲間になれば世界の半分をやると言われたので、ありがたくもらうことにしました マーラッシュ【書籍化作品あり】 @04020710
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