「じゅうななさい」クリスマスイブの戦い~負けられない戦いがここにある~【カクヨムコン10短編】
音無 雪
クリスマスイブの戦い
すっかり日も落ちて本日二回目のパーティーが始まろうとしております。
今宵はクリスマスイブ
日没とともに日付が変わると言う古来の習慣からすればクリスマス当日でござ
います。
クリスマス当日の夕刻だからクリスマスイブニング
前日の事を「イブ」と言う訳ではございません。正しい由来を伝えず、前々日
のことを「イブイブ」などと称するマスコミは滅びてしまえば良いと思うので
す。
などと余計なことを考えているわたくしでございますが、ただの現実逃避でご
ざいます。
我が家の冷蔵庫を開けるとホールケーキが二つ
ひとつは私が今日のパーティーのために焼いた手作りクリスマスケーキでござ
います。
その隣に並んでいるのは親友の爆乳姫子さんが焼いてくれた手作りクリスマス
ケーキでございます。
ふたつある・・・
――――
本日一回目のクリスマスパーティーはランチを兼ねてお昼ごろに開催されまし
た。
主賓は私の『世界一可愛い妹』でございます。ええ シスコンですとも世界一
のシスコンですわ(どやっ)
妹と言いましても血のつながりのない妹分 小さなころから私を姉として慕っ
てくれる良い子なのです。
出席者は妹と友人ご一行様 そして今年のパーティーには殿方が参加致しまし
た。我が音無家初の快挙でございます。(父を除く)
ただ殿方と申しましても妹の彼氏でございます。売約済みなのですよ。それ以
前に中学生を対象にするのは色々とまずいですからね。残念でございます。
ホスト側は私と爆乳姫子さん
なぜ平日のお昼にパーティーを開けるのかご質問があるやもしれませんが「じ
ゅうななさい」ですので冬休みでございます。りもーとわーくではございませ
ん。
姫子さんは気合いが入っておりましてセクシーなドレスで攻めております。お
胸と背中がかなり開いておりますよ。
「クリスマスパーティーだからね」
そうでございますか パーティーですから華やかな方がよろしいですね。
「クリスマスの勝負下着なのよ。どんなのかわかるかな」
妹の彼氏さんの耳元でささやくのはやめましょう。真っ赤になっているではあ
りませんか それに妹も非常に分かり易くほほを膨らませて嫉妬しております
よ。
嫉妬する顔も可愛いですね。(シスコン再び)
そんな可愛い妹はサプライズとしてブッシュドノエルを焼いて来てくれまし
た。いつもなら我が家で一緒にお菓子作りをしますが、今回は誰の手も借りず
に自宅で焼いて慎重に持ってきてくれたのですよ。愛しい彼に手作りのケーキ
を食べて欲しい乙女心でしょう。
妹の成長に涙があふれてしまいます。(シスコンです)
写真に収めてから切り分けていただきました。おいしゅうございます。
――――
――――
そして目の前にホールケーキがふたつございます。
嬉しそうに手作りケーキを取り出す妹の顔を見たら「ケーキ焼いてあるわよ」
なんて言えません。そのまま冷蔵庫で待機でございます。
そこへ気配りの出来る爆乳姫子がですね。
「ケーキ焼いてきたよ。フルーツたっぷり入れたから楽しみにしてね」
などと宣いながら笑顔でホールケーキを持ってくるのですよ。
本日二回目のクリスマスパーティーは両親と私と姫子さん しれっと姫子さん
が同席しております。
「もうすぐお嫁さんに来るのなら家族同然でしょ」
お母さま あえてその理論を口にしないでくださいませ お父さまも無言で頷
かないでください。
「お義父さま お義母さま 末永くよろしくお願いいたします」
姫子さんも乗らないでください。本宅のご両親と過ごさなくても良いのですか
「いつも娘の目の前でいちゃいちゃする親よ クリスマスで浮かれたところに
お酒が入ったらどうなるか想像してよ」
まあ お察しいたします。仲良き事、幸せではございませんか 遠い目をしな
いでくださいませ
§
四人で食べることを想定した姫子さんケーキを頂きました。
おいしゅうございました。フルーツの上品な甘さとスポンジの食感が最高でご
ざいます。
料理スキルは非常に高く、チートと言っても良いのではないでしょうか
お嫁に行っても無双できますよ。
すでに私も含め全員の胃袋を掌握している姫子さん 嫁入りには問題ないよう
でございます。
でもなにか引っかかるところがあるのです。それが思い出せないのでございま
す。考えようとすると頭にもやがかかりまして思考が止まるのでございます。
なぜでしょうか
じゅうななさいの七不思議でございます。
――――
――――
現在の時刻、21時51分をお知らせいたします。
目の前にホールケーキがふたつございます。
さらにシュークリームが加わりましてスイーツの山が築かれております。
第二回クリスマスパーティーで消費したはずのケーキですが増殖しておりま
す。
なぜこうなるのですか
§
家族でのパーティーが終わった時点で確定いたしました。
私が作ったホールケーキはパーティーサイズ このままでは消費できません
ね。
援軍を呼びましょう。
スイーツ大好きなエリザベス先輩
「手作りケーキとは素敵ですね。是非お邪魔致しますわ」
快諾していただきました。
もう一人は欲しいですね。ここは最終兵器を投入致しましょう。
不思議少女の後輩アリスさん召喚です。
「スイーツですね。まかせてください」
召喚した後に気が付きました。アリスさん 前科がございました。
でも学習能力があるはずです。今回は大丈夫でしょう。
――――
「名店のケーキをお持ちしましたわ 食べ比べなんていかがでしょう」
エリザベス先輩 何ということをされるのですか
「おまたせっ 美味しいシュークリーム持って来ました」
アリスさん 前回と同じくシュークリーム持ち込みでございますか
以前、スイーツを作りすぎたときに援軍として呼んだときとまったく同じ光景
でございます。
彼女の実力を甘く見ておりました。あなたは常に斜め上を行く不思議少女でし
たね。
「どれもおいしそうですね。早速いただきましょう」
「おなかぺコリーヌです。どれから食べますか」
「お嬢 明日いっしょにランニングしようね」
まずは乾杯などしましょうか
「「「「メリークリスマス」」」」
クリスマスイブ
乙女の負けられない戦いが今始まる
売れ残りケーキなんて言わせない(真顔)
「じゅうななさい」クリスマスイブの戦い~負けられない戦いがここにある~【カクヨムコン10短編】 音無 雪 @kumadoor
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