第4話 なわばり

***


 空から雪が舞い降ってくる。いつもと違い今夜は寒いはずだ。

 私は男が言ったように何回もこの場所に足を運んでいる。

 目的は死体遺棄。


 

 多分、『快楽殺人』を好む傾向が私にはあるのだろう。世間では『殺人鬼』といわれるのだろうか。

 相手はいつも男を選ぶ。

 華奢な体と愛嬌のある顔に男は簡単に騙されてくれる。男がに殺すのがたまらないほど快感なのだ。

 

 最初に人を殺したのは大学生の時だった。当時交際していたホストの男だった。その時はこの場所はなく別の場所に捨てた。

 は働いている風俗店の客やマッチングアプリを使い毎回慎重に選ぶ。

 


 そしてここは私の死体を捨てる場所。見つけたのは2年前。

 人が来るのが難しい場所を見つけたのは偶然だった。

 何度も足を運ぶうちに場所を覚えた。

 


 死体を捨てるのは本当に面倒だ。だけど人を殺すのがやめられない。

 

 常に予備の穴を掘ってあるのは次の死体を埋めるためだ。

 死体が見つからなければ事件にはならない。殺した相手の周りの人間が騒いでも警察は動かない。行方不明者扱いだ。

 

 今夜は予め掘ってあった穴に死体を捨てに来ただけだった。それなのにこの男がいたから驚いた。隠れて見ていたら私と同じように死体を埋めていたのだ。

 


 結果的に予定外に人を殺してしまったが、まあいい。したのだ。

 

 私は倒れた男の体を引きずって、あらかじめ掘っておいた予備の穴に放り込んだ。シャベルを使って土をかけいくとみるみるまに男の姿は見えなくなってしまった。



 この男、自分には完璧なアリバイがあるとか言っていた。それならここでいなくなっても大丈夫ははずだ。


 

――ここは私のなので部外者に入られるのは困るのだ。



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死体を埋めるのに適した場所は殺人鬼のテリトリーでした 山野小雪 @touri2005

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