宝石細工のような美と完成度による漆黒の恐怖

意思を持つクマのぬいぐるみが人の思惑に翻弄され、思いもしない運命をたどる。
その中でのぬいぐるみの思考の変化を、漆黒の恐怖で表現した作品です。

作者様の技術とセンスの高さは私ごときが今更書くことではないですが、本作品でも十二分に発揮されています。

この作品の凄みを感じる点は、ホラー作品として深い恐怖を感じさせてくれるだけでなく、拝読していて「善」「悪」とは何か?
何が正しくて、どうすれば光の側に立てるのか?
そもそも光の側なんて存在するの?

そう言った点まで考えさせられる事ですが、そういうものはともすれば説教臭く野暮ったい物になりがち。

でも作者様の飛びぬけた技術と知識、センスによって「面白いホラー作品」となっている。
これは物凄い事ですよね……

私は絶対無理……

全3話の短編と言うことに驚きを感じるほど、濃密で品質の高い恐怖作品です。
自信を持ってオススメさせて頂く1作です!