おかえりなさい、お父さん、定期試験の勉強をしたいから、明日の朝は4時半に起こして
まなか
定期試験終了直後、早起きできたミユちゃんが話す早起き法に、クラスの皆は興味津々。
定期試験の最終科目が、今終わった。
「お疲れ様。頑張ったね。」
と試験監督をした先生は、回収した解答用紙を持って教室を出ていく。
クラスの雰囲気が、どっと弛緩する。
定期試験の期間中は、緊張感が漂っているよね。
「テスト返却まで、テストのことを忘れて生きよう。」
「束の間の休息だよね。」
私も、前の席の子と話していると。
「試験中に配信見ていたら、怒られた。」
「次のイベント行く?」
クラスメイトのノリノリの会話が聞こえる。
毎日なんとなく過ごしていても、定期試験の一週間前と試験期間中は、勉強しないといけない気分になる。
一問でも多く正解しないと、試験終わった後のテスト直しが大変なんだよね。
一年生の前期中間試験の後、テスト直しがあると知らなくて。
全然授業が分からないまま試験期間に突入した。
試験範囲は、授業で習ったところだから、試験までに理解していたら、解けるんだよ。
試験のときに解けなかった問題が試験受けた後に解けるようになる?
八十点なら、二十点分の解き直しで済むけれど、三十点なら、七十点分の解き直しをして提出することになる。
試験を頑張らないと、試験終わった後が大変だと知ってから。
私は、定期試験の点数を上げようと努力している。
でも、起きれないんだよね。
試験勉強しようと、教科書、ノート、問題集、プリントを広げると。
寝るまで、五分もいらないのは、なぜ?
早起きしても、夜まで起きていても、試験期間中はぐっすり眠れる。
ふいに、隣の席とその隣にいたミユちゃんの会話が耳に飛び込んできた。
「今回は、全部の日、早起きして頑張った!」
ミユちゃんの声は、大きくはなかったけど、よく通った。
私と私の前の席の子は、話すのを止めて、ミユちゃんを見る。
「起きれたの、すごい!どうやったの?」
ミユちゃんの隣の席の子が、ミユちゃんに尋ねた。
ミユちゃんの回答を活かせば、次の試験期間は楽勝かもしれない。
クラス中が、ミユちゃんの回答を待っていた。
「試験中だけは、四時半に起こしてと、お父さんに頼んで起こしてもらっていた。」
ミユちゃんの答えに、びっくりする私達。
ミユちゃんは、お父さんに目覚まし時計役を頼んでみたんだ?
試験期間中の私は、お母さんに起こされても寝てしまう。
勉強するために早起きすることは私には不可能ではないか、とお母さんは疑っている。
私もお父さんに起こしてもらうようにしたら、起きていられるかな?
「お父さん、起こしてくれたんだ?」
「お父さん、帰るの早いの?」
ミユちゃんの前の席の子が振り返って、ミユちゃん達の会話に加わる。
「うちのお父さん、帰ってくる時間は全然早くないよ。
でも、お父さんは、帰ってくるのが何時になっても、四時半には私を起こしてくれた。
お父さんが起こしてくれたから、私も起きないとと思って、頑張ったら起きていられた!」
ミユちゃんの早起き法は、ミユちゃんとミユちゃんのお父さんにしか出来ないかもしれない。
ミユちゃんの回答を聞いた私達の心の声は一つだった。
「ミユちゃんのお父さんは、四時半に起きてそのまま仕事に行くの?」
「起きるには早すぎるから一時間くらい寝直すと言って、寝室にいって寝ていた。」
とミユちゃん。
「ミユちゃんのお父さんは、ミユちゃんを起こすためだけに、毎日、四時半に起きたんだね。」
「うん。私の試験期間は終わったから、お父さんには、早めに帰ってたくさん寝てほしい。」
とミユちゃん。
私も次の試験期間中は、お父さんに頼んでみようかな。
次の試験は、もっと点数上げたいな。
家に帰って、夕飯を食べながらお母さんに話してみた。
「お父さんに頼んでみてもいいけれど、お母さんは、あなたが起きれるとは思えないのよね。」
お母さんは、反対も賛成もしない口ぶりで、そもそもの話、と付け加えた。
「毎日、勉強したら、試験期間中に早起きしないで済むんじゃないの?」
おかえりなさい、お父さん、定期試験の勉強をしたいから、明日の朝は4時半に起こして まなか @okafuku
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