ほのぼの君

起き上がる

第1話高校一年生

お前は、優しさを履き違えてる。


目を覚まして夢なんだと、ほのぼの君は気がついた。


ほのぼの君は、物事を深く考えないように気をつけている。


部屋のカーテンを開けるとお日様。


今日もポジティブに行こう。


ほのぼの君が、通っている高校は真ん中より少し下のレベル。


ほのぼの君は、誰とも話さない。


一人を除いては。


中学生の時にほのぼの君を取り合って女子生徒二人がナイフでお互いを刺して入院して転校した。


ほのぼの君は、それから誰とも口を利かなくなった。


「ほのぼの君さぁ、そのまま一生誰とも口を利かないの?」


ほのぼの君は、ある女子生徒から聞かれた。


ほのぼの君は、涙をポロポロ流した。


「わたしと友達になってよ!」


ほのぼの君は、彼女の差し出した手の平を知らずに掴んでいた。


「ふ。」


と彼女は、笑って手を握り返してくれた。


ほのぼの君は、久しぶりに話した。まるでダムが決壊したように彼女と話した。


彼女は、ほのぼの君の話をずっと聞いてくれていた。日が暮れても夜中になって朝になっても。


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