後日談

 御住職のお寺へ墓所を相談しに行く約束をしていた。

 私がお留守番をしている間、坂の上の駐車場で車がずっと揺れていた。どうしてお墓は高いところにあるんだろう。


 二十分もするとマザーと兄と住職が離れから出て来た。

 早いな、決裂でもしたのだろうか。 


 まさかまたあの葬儀屋さんが


 と邪推したが、どうやら土地を実際に見に行くようだ。坂を上って数秒だと言っていた。車を停めたすぐ真横に墓地がある。

 

 私も見学することにして車を降りて、少し気まずそうな様子の住職と挨拶を交わした。住職はラフな装いをしていた。パーカーにスウェットの油断スタイル。くるしうない。


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 案内してもらった土地は日陰だった。完全に日陰。山がそびえ立つ陰。西日は当たるらしい。お墓参りに西日の時間は行かないと思った。


「お盆の時期なんて陽が当たらない方が絶対いいよ」と話し合いに参加もしていないくせに私は口を出した。

 この意見が採用されて、またもや即決定となった。皆寒かったんだと思う。




 帰り際、住職が素足にサンダルなことに気が付いて見送りを遠慮する。一刻でも早く室内に戻って欲しかった。フードをかぶっていたし、さぞかし寒かったことだろう。遮るものが無い頭皮だもの。




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 翌日には仏具屋さんを訪れた。

 本当は昨日の午後から出かける筈だったが昼寝をした兄が寝過ごしたのだ。


 そもそも位牌に正式な名入れをするのは住職の仕事だと思い込んでいたので、ニトリ等の家具屋で取り扱いがあるということに驚く。


 そして改めて、先述の位牌と仏壇の大きさ問題は起こりうるかもしれないと思った。

 

 あまりよく見たことがなかったが、実物を見てみると仏壇は意外と段差やのきみたいなものがあって外見よりも天井が低い。台座の大きなデザインもあり、上の方に書かれた文字がのきに隠れてしまう程度の事態は起こりそうである。

 

 

 色々とフィッテイングさせてもらい無事に購入を済ませたが、これで終わりではなかった。

 仏壇と位牌が届いたら“魂を入れる”という儀が行われるらしい。位牌だけでなく仏壇にも入れるそうだ。想像がつかないが、ちょっとワクワクする。



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 まだ仏壇が届くまで時間がかかるそうなので、この話は一旦ここでおしまいです。

 余談になりますが、お焼香の作法は宗派によっての違いがあるそうですね。ただ、調べた中でもアズパーおじさんのお焼香の仕方はヒットしませんでした。そんなに熱心に調べていませんが。


 また更なる後日談があれば近況をご報告させていただきたいと思います。

 


 

 ここまでお付き合いくださいまして本当にありがとうございました。


 どうぞ、よいお年を。









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おしまいの後 茅花 @chibana-s

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