第五章 密室の手紙

 図書室の奥には、古い書架と使われなくなった机が並んでいました。その一角は普段生徒たちがあまり足を踏み入れない場所で、埃が積もった静かな空間が広がっていました。


 ある日、図書委員の絵里は、図書室の整理を任されていました。彼女は本を片付けながら、ふと使われなくなった古い机の引き出しに目を留めました。「こんなところに何かあるのかな?」好奇心に駆られて、引き出しを開けてみると、折りたたまれた古びた手紙が出てきました。


「これは…?」絵里は手紙を丁寧に広げました。文字は少し褪せていましたが、読むことができました。「この想いを胸に秘めて、永遠に…」という切ない言葉が綴られていました。名前の部分は何者かによって消されており、誰が誰に宛てた手紙なのかは分かりませんでした。


「こんなところになぜこんな手紙が?」絵里は興味深げにその手紙を眺めながら、もう少し調べてみることにしました。彼女はその手紙を持って図書室の司書である先生に相談しました。


「先生、この手紙は何ですか? どうしてこんなところに?」絵里が司書の先生に尋ねると、先生も驚いた様子で答えました。「ええと、これは私も知らないわね。でも、何か特別な意味があるのかもしれないわ。」


 絵里は、この手紙の謎を解くために、校内の古い文書や記録を調べ始めました。すると、数十年前にこの学校であったとされる禁じられた恋物語が浮かび上がってきました。それは、ある生徒と教師との間に芽生えた秘めた愛の話でした。


 手紙の内容とこの恋物語には関連があるのかもしれません。絵里はさらに詳しい情報を探るため、卒業生や当時の教師にも話を聞くことにしました。この古い恋の物語が、現在の不可解な出来事とどのようにつながっているのかを解明する鍵を握っている可能性があります。


 絵里はこの謎を追い続ける決意を固め、学校の過去の秘密を解き明かすための長い調査が始まったのでした。

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シャッターチャンスは一度だけ 森康雄 @YASU113

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